【最強メガシンカ】世界でいちばん頑張っている君に 〜〜7th Setback〜〜【ポケモンXY特別編】

意気消沈 ページ8

やっぱり、一筋縄ではいかないよね……。

五線譜ノートに額をひっつけ、長々とため息をつく。

結局、3フレーズしか作れてない。
私が一曲書けるようになるまで、いったいどれだけ時間がかかるのやら……。

「……何してるんだ、A」

「ほげうわぁっ！！？」

一瞬で跳ね起き、後ろを向く。

お風呂から上がったラフな格好のアランが、苦笑いしながらこちらを見ていた。

すんごくだらしないところ見られた……。

「あ、え、えっと……これは、その……っ！！」

とっさに言葉が出てこない。
そんな私の様子を見兼ねたのか、彼は「風呂、空いたぞ」とだけ言ってまたホロキャスターをいじり始めた。

きまりが悪くなった私は、アランの勧めに従ってお風呂の準備をし始めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【アラン視点】

さっきのA、マジでおかしな姿勢だったな……。

完全に意気消沈してたというか。机に額つけてため息つくとか、何があったんだっていう。

ホロキャスターから目を離し、机の上の物体を確認する。
あれがAのテンションの原因なのか。

今Aは風呂に入っている。今なら見ても何も言われないだろう。

そっと机に忍び寄る。


「これ、Aが書いたのか……」

机の上の物体は、書き途中の楽譜。

あいつ行動早いなぁ。
俺も今からやれることはやっておくべきだな。

――その前にやるべきことがあるだろ

そうだな。あれをどうするべきか。


机の前から離れ、再びホロキャスターに目を向ける。

そこに映されていた画面は、風呂に入る前となんら変化がない。
あの着信でさえ。

着信履歴の一番上を見て、ため息をつく。

伝言機能らしく、普通の通話とは表記が違う。これは今までにたびたび送られてきたことがあるから、不自然ではない。ちょっとした連絡事項を伝えるための機能で、一方的に話される機能だ。

着信日時は今日の20時43分。ちょうどAと日時計を見ていた頃だ。あのとき俺が後回しにした着信。

おかしいのはここからだ。

送信者の欄が空白になっている。誰からの着信か全くわからない。
明らかにおかしいのは、録音時間が00:00となっていること。これもうどういうことなんだよ。

最初に見たときは俺の目がおかしくなったのかと思った。
Aが真剣な表情で楽譜を眺めているそばで驚愕の声を漏らしてしまったくらいだ。

――で、どうするつもりだ。聞くのか、聞かないのか

その答えを出せないからこんなに迷っているんじゃないか。

一回きりの伝言→←信じればいいんだよ

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