違う方向から ページ6
【A視点】
まさか、彼の口からあんな言葉が出てくるとはね。
これは、私も頑張らなくちゃ!
「なんか、すっきりしました!
いろいろ話したら、緊張もどっか行っちゃいました!」
立ち上がり、彼の方を向いてもう一度笑う。
「そうか。俺も、いい時間だと感じたよ」
ちょうどそのとき、辺りが暗くなり始めた。
日時計の明かりが弱まっていく。もう21時みたい。
日時計の光が消えると同時に、黄金の輪の動きがゆっくりになっていく。
その様子に私たち二人は目を奪われていた。
「そろそろ帰るか」
黄金の輪の動きが止まって数秒後、アランが切り出してくれた。
「そうですね」
先に進みだしたアランの後を追う前に、もう一度夜空を見上げる。
相変わらず綺麗な星と月。
「シズカ、アランのお母様。
どうか私たちに、もっと『幸せ』をください……!」
両手を合わせて、そう願う。
月の近くで、一つ、星が流れた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
部屋に戻ってきて、二人ともそれぞれやりたいことをしていた。
アランはホロキャスターをチェックしていて、私はアルカンの『スカンツォ・フォコーソ』の楽譜を読み解く。
時々アランが何か言っているようだが、私が楽譜を読んでいるときは周りの音が聞こえなくなるので、何を言っているのかわからなかった。ただ、私を呼んでいるわけじゃないのはなんとなくわかる。
それにしても、よくこんな曲が書けるなぁ。
私もいつかこんな曲を書くのかなぁ。
作曲家を目指し始めたのは、結構最近。
何気なく作った鼻歌をアランが褒めてくれたことがきっかけ。
でも今まではっきりしなかった。
自覚したのはアランが私より先にアルカンの曲を弾けそうと感じたとき。
この人を超えることは難しい。なら、違う方向から攻めてみようって。
この人を喜ばせる曲を作ってあげようって。
アランもああやって言ってくれたし、絶対に叶えないとね。
その前に、お母さんを超えて、カロスクイーンにもならないと。
「……そうだA。先風呂入ってていいぞ。俺、いろいろやることがあるから」
やっとアランの声がちゃんと聞こえた。
「もう、アランったら。忘れたんですか?
私が先入ったら大惨事ですよ?」
文字通り、血の海になるかもしれないのに。
「あ……すまん。
そうか、そうだよな……」
時差があって彼が気まずそうに答えた。
「じゃあ俺が先入るぞ」
「はい。ゆっくりでいいですからね」
彼はそそくさと洗面所の奥に入っていった。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時