贈与 ページ41
【アラン視点】
ということで、俺たちは現在バトルフィールドにいる。
Aは性も懲りず、あの寒そうな恰好でラルとアステと一緒に踊っている。
俺はリザードンの特訓をしながらその様子を眺めていた。
あいつの左足は、動きが鈍いもののしっかり地を踏みしめている。
あいつ、俺並みに回復早えな。そうか、あれだけ寝たもんな。
俺がどれだけ呼びかけてみても、アホ毛弄ってみても、デコピンかましてみても、カレーを近くに置いてみても、……キスしてみても起きなかったもんな。
「アラン!」
「!?」
いきなり呼びかけられたから驚いた。
よりによって昨日のことを思い出したタイミングで……。
「何だよ」
「バトンの件で。探しにいかないといけないですから」
そうだったな。
「それなら心配いらない。ほら」
俺は例の箱をAに渡す。
Aはすぐにその箱を開いた。
そこにあったのは、トワリングバトン。本物だ。
Aは目を見開いて俺を見た。
「昨日、用事があるって別行動したろ?
ミアレに行って探してきたんだ。税込18900円。一番いいやつだ」
「い、一万!?
私、そんなお金持ってないですよ!?」
俺が請求するとでも思ったのか。
「これは贈与だ。請求しない。
その代わり、最高のパフォーマンスになるようにな。
かと言って、何度も言うが無理すんな」
「難しいことを言いますねぇ。
でも、ありがとうございます! 頑張ります!!」
バトンをギュッと握りしめて、Aは満面の笑みを見せた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それからは、Aも俺も特訓に集中していた。
Aはバトンを回し、ラルとアステはそれに合わせて技を出す。
俺はその隣でリザードンの技の威力を高めさせていた。
昼になったら一度部屋に戻り、俺がカレーを作り、一緒に食べ始め、食べ終わる。
食器を流しに置いたまま、またバトルフィールドに行き、反復練習。
そうしているとすぐに時間が過ぎる。
幸いなことに、いい意味で何事も起こらず日が暮れた。
「練習時間は、あと一日だけ……」
夕飯のカレーを食べているとき、Aは焦りの目で左足の包帯を見てそう言った。
「足、大丈夫か?」
「わかりません。今日は良かったけれど……」
Aが食べ終わるのは、俺より少し遅かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺、A、の順に風呂に入り、風呂から出てすぐにベッドに向かう。
Aは長い髪を乾かしてからだから、俺のほうが早く寝たことになるな。
24人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時