5回目の ページ29
吊り橋の真ん中で立ち止まってしまった私。最悪のところで恐怖に足止めされた。
「お前はなんでもそうだな。行動した後に感情が襲い掛かってくるんだろ」
正論すぎて返す言葉がない。
「ほら、そんなところにいると余計恐怖を感じるぞ」
「分かってますけど……その」
私が足を出すのを渋っていると、アランはため息を一つつき、慣れた手つきで私の背と太ももに手を回した。
「ほ、ほやぁ!!?」
急にお姫様抱っこされたから、変な声が出てしまった。
「今さら動揺するなよ。これやるの5回目だろ」
「え、4回目じゃないんですか?」
前、私が寝不足で倒れたときに1回、記憶喪失が治った後に恥ずかしさのあまり倒れたときに1回、『アレ』のせいで立てなかったときに1回、これで4回目かと。
「そうか、お前は覚えてないのか。
お前が記憶喪失になったときも、こうやって運んだんだ」
あちゃ〜私が覚えてないところで迷惑かけちゃってたかぁ。
「てか、お前5回も倒れたりしてるのかよ」
彼が軽く笑いながら私を見下ろす。
「むぅ……! しょうがないでしょう!?」
自分でも、ちゃんとコントロールしなきゃって思ってるんだけど、なかなか難しいものなの。
「ああ。だから倒れてもいいぞ。俺が支えてやるから」
まっすぐ見つめるその瞳に、私の大きく開いた目が映り込んでいた。
「ほら、着いたぞ」
吊り橋を渡り終えたところで、彼は私を降ろしてくれた。
「……ありがとうございました!」
「礼はいい。とにかく早くポケモンセンターに行って、早く19番道路に向かうぞ」
どれだけ『あまり会いたくない人』を恐れてるのよ……。
心の中の私のツッコミを無視して、彼は急ぎ足で階段を下り、草むらをかき分ける。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ほわぁ……のどかな町……!」
レンリタウンは、ミアレのような忙しい感じはなく、時がゆっくり過ぎていくような町だった。
きっとここが、アランの故郷……。
「何でもいいが早く行くぞ」
すたすたとポケモンセンターに向かうアラン。やけに周囲に気を配っている。
受付でジョーイさんにツボツボが入ったモンスターボールを預け、ベンチに座りながら窓の外の滝を見つめる。
「わぁ……! ね、アラン、滝ですよ! 滝!!」
「そんな興奮することじゃないだろ」
ミアレ出身の私からしたら、珍しすぎるんだけれど!?
「やっぱりあなた、ここの出身でしょう?」
「さあな」
さっきからそればっかり。分かりやすいよ。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時