【最強メガシンカ】世界でいちばん頑張っている君に 〜〜7th Setback〜〜【ポケモンXY特別編】

勝利祝い ページ26

【A視点】

あのとき、エデルさんとフューネさんは最初、いかにも傍観者のような立ち振る舞いだった。
だけど、私がパフォーマンスを始めると彼らの態度はがらりと変わった。
周りの観客と同じように、目と口をいっぱいに開いて歓声を上げ、握り拳を掲げていた。

傍観者から当事者に変わった瞬間だった。


「次の開催はエイセツって言ってたよな。
ジムもエイセツにあるから、早めに着けるといいな」

「そうですね。じゃあラルとリザードンの回復が終わり次第、この町を出発しましょうか」

その前に渡すものがあるんだけどね。もう出来てるころかなぁ。

「そうだな」

彼が同意したと同時に、目の前にポケモンセンターの扉が現れた。

意外に日時計のところからポケモンセンターって近いんだね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ジョーイさんにラルとリザードンのモンスターボールを預けて部屋に戻る。

「……なんか無性に腹減らないか？」

彼がいきなりそんなことを言い出した。

「言われてみれば。朝あんなに食べたはずなのに……」

さて、あれの出番かな。

「ちょっと待っててくださいね。いいものがあるんです！」

返事を聞くこともせず、私は部屋を出て階下に降りた。


共同キッチンのオーブンを開く。香ばしいいい香りが空気を変える。

いい感じにできている。あとは、これを上まで運ぶだけ。

「よっと……」

お盆の上に載ったそれを落とさないように慎重に、焼きたての間に届けたいからできるだけ速く部屋に向かう。

「お待たせしました〜！」

肘で扉を開け、彼に向けてお盆を差し出す。

「おい、そのメロンパン、まさか」

「はい！ 手作りですっ！！ 焼きたてです！！」

彼はこれ以上ないくらいに目を見開き、お盆の上のメロンパンと私を交互に見た。

「なんていうかその……まずツッコみたいのは、よくこのタイミングで出てきたな」

「今日のジム戦はきっと勝てるって信じてたから、そのお祝いとして朝から準備していたんですよ。5時起きはそれが理由です。
結果、私の思い通りになりましたね！」

作ることで自信もついたから、一石二鳥だった。

彼は驚愕の表情を一切変えず、2つのメロンパンのうちの1つを手に取った。

「それにこれが手作りってどういうことだよ。見かけだけで美味いって分かる。
職人のと変わらないクオリティだろ！」

「ありがとうございます！
でも、いろいろ言う前に、まずは食べてくださいよ」

私も残ったメロンパンを手に取る。

メロンパン→←理解してくれている存在

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