ツドキのアドバイス ページ13
「よーし……もう一度やってみる。ツドキ、見ててくれるかな?」
「キッス!」
天使のような笑みでうなずいてくれた。
「1,2,3,4,1,2,3,4……」
この次。右手を頭上まで持っていくときに、どうしてか手から木の棒が抜け落ちる。
「1,2,3,4,1,2,3,4……」
例に漏れず、今回も手の中にはあの木の棒がない。
「はぁ……」
ため息をつきながら、足元に転がった木の棒を拾う。
「! キッス!!」
「ツドキ?」
興奮した様子で私に何かを伝えようとしてくれてる。
「もしかして、今の失敗の原因が分かったの?」
ツドキは満面の笑みでうなずいた。
「キッスキッス!!」
ツドキの柔らかい羽が私の右手に触れる。
「あ、そっか、こうやって握ればいいんだね?」
ツドキが教えてくれた握り方は、親指と人差し指の付け根で握るというもの。
手のひら全体で握っちゃいけないらしい。手のひら全体で握るとバトンが回らないから、ゆるく握ることになってしまって、だから手を挙げた振動で落ちたのかもしれない。
ツドキから教わった握り方だと、バトンは回るけれどしっかり支えられてる。
これなら……!
「もう一度やってみる!!」
ツドキの笑顔が眩しかった。
それを見て、私も笑顔になる。
「1,2,3,4,1,2,3,4……!」
さっきよりも回しやすい!
「1,2,3,4,1,2,3,4!!」
頭上に移動しても、私の手の中には木の棒がちゃんとある。
「やったぁ!!」
「キッス!!」
意外と簡単にできた。
でも、ツドキが教えてくれなかったら、私は永遠にここで練習しているハメになっていただろう。
「ありがとうツドキ!」
「キッスキッス!」
ツドキは照れ臭そうに笑って、モンスターボールに戻っていった。
本当にいい子。私が困っているときに来てくれて、立ち直ったらいい笑顔をしてさっと戻ってくれる。イケメン対応とはこのことだよ。
さてと、ツドキが教えてくれたからには、もっと練習して自分のものにしないとね。
ホロキャスターの音楽を再生する。
「1,2,3,4……1,2,3,4……」
バトン回しがやりやすくなったから、その分足に気を回せる。
「1,2,3,4……1,2,3,4……!」
ステップも軽くなって、頭もどんどんすっきりしてきた。
「1,2,3,4……1,2,3,4!!」
問題の右手を頭上に上げるのも難なくこなせた。
――すっごく、楽しい!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ハァ……ハァ……」
気付けばもうすでに日が出ていた。人も多くなってくるだろう。
もうそろそろ帰ろうか。
24人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時