涙と笑顔は知っている【２】 (ページ10)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:68,708 hit

４７、酷いページ10

学校到着。

やっぱり皆も事件のことは知っていた。

「朝のニュース見た？あの原口さんの家に泥棒が入ったっていう・・・」

「見た。あれは悲しいよね、さすがに。」

「でも原口さんってワガママだし、性格悪いし、天罰とか食らったんじゃない？」

さすがにそれは言い過ぎだよ。

たしかに私も酷い目に合ってきたけど。

でも何で泥棒なんか入ったんだろう？

あれだけお金持ちなら、普通、泥棒が入ってきてもおかしくないから、それなりの警備はしてると思うんだけど。

執事さんだっていたし。

警備が甘いはずない。

なのに泥棒が入った。

なぜ？

謎は増えるばかり。

うーん・・・

原口さんに直接聞いてみようかな。

「何があったの！？」って。

いや、でも、それは単刀直入すぎる。

しかもショック受けてるだろうし、他人が首突っ込まない方がいいよね。

どうしよ・・・

先「はい、出席とるよー。えっと、今日は原口さんは欠席です。」

クラス中は一気に騒がしくなる。

「やっぱり休むよね。」

「そりゃそうだよ。普通に学校来られる方がおかしいもん。」

「ちょっとスッキリした。うるさい人が来なくてー。」

「俺も１億欲しー」

冗談を言う人。

悪口を言う人。

それにつられて「そうだよね」って言う人。

庇ってあげたいけど何も言わない人。

酷い。

原口希はすごく傷ついてるはずなのに。

皆で悪者扱いして、悪口言って。

そういう人たちだから、私も嫌がらせされてたんだ。

やだ、このクラス。

何で、気持ちをわかってあげられないの？

彩「皆して何言ってんの？少しは可哀そうとか思ってあげられないの？原口さんショック受けてるかもしれないのに、悪口言うの？それって楽しい？」

私が大声で言うから、皆驚いてる。

翼も忍も。

先生まで。

「立花さん？何庇ってんの？あれだけ酷いことされたのに庇うっておかしくない？」

私は・・・原口希のことを許していない。

すごく苦しい日々を過ごしてきたから、許すつもりなんてない。

けど、だからってこうなるのはおかしい。

原口希を孤立させるのも。

悪者にするのも。

絶対おかしい。

彩「庇ってるつもりなんてないよ。けど、皆の意見は間違ってると思うから、私は原口さんのことを庇ってるのかもね。」

皆の顔は濁る。

先「えっと・・・そうね。悪口はやめなさい。していいこととダメなこともあるわ。」

先生は話をそこで終わらせ、次の話題へと入って行った。

私はすごく複雑だった。