第379話🦇この場所でもらったモノ ページ44
*ミラ side*
「帰ろうと、思いまして」
そう告げると、先生たちは皆一様にポカンとした。
「え……帰る、って？」
聞き返してきたロビン先生に、アタシはへらりと笑って答える。
「もちろん、実家にですよ。ブルシェンコ先生にはもう伝えてますんで。今日、この後帰ります。だから……今までお世話になった感謝を込めて、今日は夕食を振る舞わさせてもらったってわけです！」
笑みを深めてそう告げると、先生たちは納得したようで
「ついにミラちゃんも卒寮か〜……。君とのゲーム、まだ決着つけれてないからね。今度は、
アタシと何度も楽しいゲームをしてくれた、オズワール先生。
「ふいっ、よく決断しましたねミラさん。アナタが決めたなら、私たちは笑顔で送り出しますよ〜」
入寮初日からずっと何かとアタシのことを気にかけてくれていた、スージー先生。
「その通り！！ 笑顔、で……………ごめん、ミラさん。やっぱり……僕は寂しいよ。かわいい妹ができたみたいで、本当に……すっごく楽しかったから」
料理の師匠として毎日アタシにお手伝いさせてくれた、ロビン先生。
他にも……たくさんの楽しい思い出を、アタシは先生たちからもらった。
ここは本当に居心地が良くて、いつまででも居たいと思ったけれど……さすがに、そこまでのワガママを言う気は無かった。
それに、アタシはきっと
あの家に帰るのは、正直憂鬱やけど……でも、きっと大丈夫。ここでもらったモノが、アタシの心を支えてくれるから。
「……も〜、そんな顔せんといてくださいよ、ロビン先生」
心の底から悲しんでくれているロビン先生に、ふっと笑いかける。
「別に、会おうと思えば学園で会えるんですから。それにアタシ、まだまだアナタから料理教わるつもりですし！ ねッ、師匠」
「ミラさん……」
アタシの言葉に、ロビン先生は笑みを浮かべてくれた。
「……うん、そうだね。たとえ住まう場所が変わっても、僕は君の師匠だからね！！」
いつもの調子に戻った彼に安堵したところで、ダリ先生が取り仕切るように口を開く。
「よーし、それじゃあ今日はミラさんの卒寮祝いだ！」
「「「「「おーッ！！」」」」」
最後の最後まで笑顔が尽きることは無く……アタシの教師寮生活は、幕を閉じた。
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年9月11日 21時
