第380話🦇久々の帰路 ページ45
*ダリ side*
「よかったの〜？ 天下のご令嬢サマが、こんな遅くに帰宅なんて」
あれからとことん騒ぎまくり、あっという間に夜も深くなってからミラさんは自宅へと帰ることに。
さすがにこんな夜中に女子生徒1人で帰らせるわけにはいかなかったので、代表して僕が付き添っている。
「ええんですよ。どーせ帰ったらお説教三昧やろうし……1つや2つ小言が増えたところで、痛くもかゆくもありませんわw」
軽い調子で答えながら飛ぶ彼女を見つめ、僕はおもむろに口を開く。
「……
「！……はい、ありがとうございます」
『大丈夫？』なんて聞いてしまうと、彼女はきっと『大丈夫』と笑って隠してしまうだろうから。
あえてその言葉はかけずに、僕の言いたいことだけ勝手に言わせてもらった。
結果として嬉しそうに応えてくれたから、良しとしようか！
それから雑談を交えつつ飛んでいる内に、シュピーゲル家の大きな屋敷に辿り着いて。
地上に降り立つなり、ミラさんは手馴れた感じで門の所に設置されているチャイムを鳴らした。
それからすぐに、奥から
「やっとお帰りになられたのですねお嬢様ッ！！！」
「うっさいねんコラソン……先生の前で、みっともない過保護アピールやめて」
コラソンさんを不愉快そうに睨んだかと思えば、彼女はくるりとこちらを向いてニコッと笑う。
「それじゃ、アタシはこれで。ホンマにいろいろとありがとうございました！ また明日からも、よろしくお願いします♪」
「うん、こちらこそ。ゆっくり休むんだよ〜」
背を向けて歩き出す彼女を手を振りながら見送り、その姿が屋敷の中に消えたところで小さく息を吐く。
「……忘れないでね。君は名家のご令嬢である前に……僕らにとって何よりも大切な、1人の生徒なのだから」
独りほくそ笑みながらそう呟き、僕は来た道を飛んで帰るのだった。
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年9月11日 21時
