第270話🦇その思い出が背中を押す ページ31
*ショッピ side*
「じゃー、そろそろ俺ら帰るんで」
「ショッピはどーする？」
「……俺はもうちょっと残るわ」
「そっか、頑張れよ」
１年共と一緒にチーノも出ていったが、ただ1人残った
「……帰らないんですか、ミラさん」
「んふふっ、ちょっとショッピ先輩に渡したい物がありまして！」
そう言うなりミラさんは、パチンッと指を鳴らした。
その瞬間、何も無い空間から突然大量の本が現れる。
「ど、どうしたんですかソレ……」
「アタシん
試しに1冊手に取って目を通してみると、貴重な文献だからか内容は少し難しそうだった。
けど、ピコを
「……ありがとうございます。ありがたく読ませてもらいますね」
「はい！ それから、もう1つプレゼントがありまして」
「え？」
首を傾げる俺にミラさんが差し出してきたのは、紫色の小さめなアルバムで。
「逆に悲しませてしまうかもなって、ちょっと悩んだんですけど……頑張って作ったんで、受け取ってくださいな」
アルバムを受け取り恐る恐る開くと、そこには―――俺とピコが一緒に写った写真が、たくさん貼られてあった。
「コレ…アナタが……？」
「そーですよ。アタシが撮り溜めたピコちゃんフォルダから厳選して、アルバムにしてみました！」
……ミラさんが、俺の…ために……。
「あー……余計なお世話でしたかね？」
不安げに反応を
「そんなことないですよ。めちゃくちゃ嬉しいです」
「！ 良かったぁ……！！」
安心したようにへらりと笑う彼女にドキリとしつつ、アルバムへと目を向ける。
思い出があるだけで救われる、か……。確かに、そうかもな……。
「……お返しに、ピコの動画でも見せましょうか」
「わッ、ええんですか？ 見たいです！」
ビデオカメラを取り出し、俺がピコをマフラーにしている動画をミラさんに見せてやる。
ソレを見ながら楽しそうに笑う彼女を横目で見やり、俺は小さく笑みをこぼすのだった。
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年8月22日 9時
