第264話🦇連れ出し作戦 ページ25
*ショッピ side*
日が落ちた時間帯を狙い、俺はピコを連れ出すことにした。
しかし…人目が少ないとはいえ、バレずに連れ出せるやろうか……。
そんな不安を抱きながら独りピコを見上げたその時、
「あ、居た居た。これからですか？ 先輩」
「……ミラさん？」
振り向くとそこには、みんなと一緒に帰ったはずのミラさんの姿が。
「ど、どうしてここに……」
「ピコ連れ出す時にバレたら
「……！」
そんなこと考えてくれてたんか……。
「……良いですね、それ。採用します」
「よっしゃ決まりやな！ ほな、早速行きましょか」
ということで俺は、ミラさんの力を借りてピコを連れ出すことにした。
ー＊ー＊ー＊ー
ミラさんの家系能力で上手いことピコを隠しつつ、なんとか学園外に連れ出すことができた。
やって来たのは、学園から少し離れた所にある大きな
「へー、ようこんなとこ見つけましたね」
「偶然ですよ。……ピコ、悪いけど…しばらくここがお前の仮住まいやねん」
ミラさんに答えてから、隣に居るピコに向けて告げる。
「もうちょっとええ場所見つかるまで我慢してくれ」
「エサとお水、ここに置いとくからね。しっかり食べて飲むんやで」
ミラさんが持ってきておいたエサと水を置いてくれたことを確認し、俺はピコに語りかける。
「ちゃんと大人しくしとるんやぞ。ええな」
そう言うとピコは、悲しそうに耳を垂れて俺の袖をくわえてきた。
その様子を見て、胸が締めつけられる。
「……いや、ちゃうねん。捨てるんやないて。明日学校終わったら、またすぐ来るからな」
そう言ってピコをひと撫でし、俺はミラさんと共にその場を飛び立った。
後ろから微かに聞こえてくるピコの悲しげな鳴き声を背に、俺はただ視線を落とすことしかできなかった。
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作者名：空文 晴霧 | 作成日時：2022年8月22日 9時
