頭のネジでもぶっ飛んだ？？ ページ17
「…………」
最後の音が、ゆっくりと会場を包み込んでいく。
モネが、そっと、弦から弓を離す。
カルエゴが、ピアノから立つ。
礼。
「「「、お、おおおおおおぉぉぉぉ！！！！！！！」」」
「や、やべぇなんだアレ、」
「すげぇ意外に感想が無ぇ」
「くそ、陰湿教師そこ変われッッ！！！」
「きゃっ、カルエゴ先生かっこいい……♡」
「モネ先生ブラヴォぉぉぉぉぉーーーッッ！！！！！」
言うまでもなく、今日で最も大きな歓声が響き渡る。
ここからでも、あまりのうるささに顔をしかめる２人が見えた。
「流石はあの２人だね……」
「途中から呼吸できていたかが心配です」
ダリもツムルも、じんわり心に染みた演奏を、しみじみと振り返っていた。
が、
「ふぃ？ でも、モネ先生、
これが専門では無いですよね？」
「…………スージー先生？」
「スージー先生の言う通りですよ！」
「…………エイト先生？ 何そのポーズ、」
顔を上げたモネが、カルエゴに、自身のヴァイオリンを手渡す。
何故か、カルエゴしか、舞台袖に下がらない。
と思ったら、再び出てきたカルエゴ。
刹那、
「えっちょエイトッッ！ お前何、」
「おるぁぁぁぁッッ！！！」
「エイト先せーいッッ？！？！？！」
「……ふぃ！ なかなかに気持ちの良いスローですねぇ」
投げた。
イフリート・ジン・エイト、投げた。
壊れているとか、調子が悪いとか言っていたはずの、あのマイクを、そう！
投げた！！！
舞台に向かって、観客席の一番後ろから！！！
投げたのである！！！！！！
「えっ、今なんか、黒い物体が飛んでいかなかった？」
「え？ 誰か飛んだ？」
「流石に先生が押さえるでしょ、」
「じゃあ何？」
Ａ.マイクです。
武闘派のエイトでも、流石にこの距離は厳しかったようで、多少は軌道が曲がったもののーー
「「あっ」」
華麗にキャッチしたのは、そう。
我らが音楽教師、フェネクス・モネ！
「あーあー、テス、テス、マイクテス、マイクテス」
反応からして、モネは、このことを知っていた。
何かが、起こる。
「……皆さんご存知かは分かりませんが、私の専門は、歌です。ヴァイオリンではありません。」
バチっと、目が合った。
「この程度で満足されては、困ります」
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作者名：Sela | 作成日時：2023年3月19日 10時
