【w.r.w.r.d.！】未来の夫探しをしてみた。【王子様パロ】 (ページ29)

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12000冊の本ページ29

「お待たせいたしました」

着替え終わり、応接室に向かった。
そこには既に椅子に座っていた、エーミールさんとぴくとの姿が。

「お待ちしておりました。昨夜はよく寝られましたか？」

「えぇ、ぐっすりと。部屋まで拝借して頂きありがとうございます」

「いえいえ。当たり前のことをしたまでですよ。あ、お座り下さい」

「ありがとうございます」

私はエーミールさんに促され、椅子に座る。

「昨日の事なのですが」

「はい」

「昨日1日の本の廃棄が12000冊ほど寄せられました。その中には昨日もお話したとおり、まだ手をつけていない新品も多くありました」

「12000冊…」

「こちらとしてももう本を燃やすことは出来るだけしたくないのですが…だからといってそのままにしておくと、読まれない本がただ積み重なっていくだけで」

「図書館などには送ることは出来ないんですか？」

この国を探索している時、大きな図書館がちらほらと見受けられた。

「以前試したことはあったのですが、既に貯蔵数が溢れておりまして…もう手に負えないとの事でした。新しい図書館を建てるにも莫大な費用がかかりますし…新しい土地の確保も困難です」

「そうでしたか…」

どことなく儚げな表情を見せた彼。
大好きな本が1日に多くの数が焼かれていく。その現実に、彼はどれほど苦痛なのだろうか。私は計り知れない。