松下村塾の悪ガキさん 弐 【銀魂】

-二一頁目- 友情なのかそれとも ページ21

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「 Aは誰にでも敬語だったんだろ？ 」

「 まぁ、癖がついとって… 」

「 それは故郷の訛りか？ 」

「 そうやね、嫌なら戻すで？ 」

「 いや、俺が外してくれと言ったんだ。それがいい 」

「 そっか 」




それだけの為にペースを合わせてるのか、と思ったA。なんだか空気がむず痒い。

パチパチと瞬きをして、視線を彷徨わせる。耳はいいはずなのにもう銀時達の声は聞こえない。どんな速さで向かったんだよ。←




「 先生と銀時とは一緒にいて長いのか？ 」


「 微妙やなぁ。でも開塾前からのお世話になっとるし、長いといえば長いと思う 」


「 なら、得意なこととかは？ 」


「 え？うーん…、最近は傷とかの手当てって……どうしたん？そんな質問攻めして 」


「 いやその……松下村塾に通いだしてもう随分経ってるから……その、 」





言い淀む桂を見てAは庭に目を向けた。
池の近くに咲くAの好きな花。雨風にも負けずしぶとく咲く白い野花。

まだもごもごと何か言おうとしてる桂の横を通り過ぎて洗濯物を置き、花が咲いてるとこまで走った。

そこで蹲り、桂からにはAの背中しか見えない。





「 おいAなにして…── 」

「 はい手ぇ出して 」

「 ？ 」





桂が追いかけようと一歩を踏み出そうとするとAがすぐ帰ってきて手を出すことを要求された。大人しく従い手を出すと、手のひらにふわっとした感触が。


Aの白い手が桂の手からどかされるとそこにあったのは白い花だった。そこら辺に咲いている野花。手のひらにある花は指輪にしては大きいし、腕輪にしては小さすぎる大きさに編み込まれていた。





「 これ、シロツメクサって言うんよ。私の好きな花 」


「 ……… 」


「 もっと綺麗な花があると思うけどウチはこれが好きやねん。ヅラはなんか好きな花ある？ 」


「 俺は、あまり…花は… 」


「 そっか〜。まぁでもそれあげる。大事にしてや？ 」




冗談っぽく笑ってAは洗濯物を持ち直した。桂は突然こんなことをしてきたAの行動に頭がついていかなかった。なぜ、今してきてのか。




「 質問攻めよりも、こうやって関わって知ってった方がええやろ？ 」


「 ……！ 」


「 あ、そうや！今度先生に頼んでおはぎ食べよ！なぜか美味しいんよ〜 」





Aはあまり他の生徒達と仲良さそうに話してなかった。話したいけど話してもいいのか、とお互い距離があるような関係性に見えた。


それでも俺にはこんな嬉しそうな笑顔を向けるものだから…




ぱっ、と何かが芽生えた。




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