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声を荒らげることなく、ただ淡々とAは敵がいなくなるまで斬り続けた。
“なんでも出来る”と言うのはAの錯覚にすぎない。彼女はまだ子供なのだ。




「 っひゅー……ひゅー 」




呼吸が変になってしまっている。上手く、息が出来なかった。周りには斬られ倒れる錫杖を持った人達。Aはフラフラになりながらも銀時の傍に寄った。

そのままゆさゆさと力なく彼を揺らした。





「 ( 銀ちゃん……銀ちゃん… ) 」





声が出せない。声が出ていないからこそ彼女の呼び掛けに銀時は答えない。
炎は消え、完全に崩れ落ちてしまった学び舎を見上げ、一向に起きない銀時を見て、周りに倒れる敵を見回した。

シン、と音が何一つ聞こえない。まるで自分一人だけになってしまったかのように。


未だに整えられていない呼吸のまま、持っていた錫杖を手から滑り落とした。






「 ( ウチ……だけ?一人…? ) 」






周りに誰もいない。誰も………誰も。


Aはもう残っていない力を何とか振り絞り銀時の拘束を解いた。そして彼の腕を肩に回し近くの木の幹にもたれかかるようにしてゆっくり置いた。

その時気づいた。茂みの奥にうつ伏せに倒れる紫髪と黒髪のロン毛。






「 ( 晋ちゃん……ヅラ…… ) 」






とうとう、足に力が入らなくなった。顔面を地面に叩きつける形でAは倒れてしまった。

カタカタと動いていたネジが突然止まったかのようにピクリとも動かなくなってしまう。瞼が閉じることなく壊れたカラクリの人形のように。






「 ( もう……つかれ………、……………… ) 」






敵全員倒した。でも一人だけ取り逃した。その男だけ強く、被っている笠から見えた目の下に隈があった。


Aが最後に思い出したのは何故かその記憶だった。









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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時

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