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Aが目の当たりにした光景は、燃え盛る松下村塾と見知らぬ人達が倒れている。その中には血を流し倒れている銀時もいた。……さっきまでは叫んでいたはずなのに。
シャランッと後ろから音が聞こえ、振り向くと手首を後ろに拘束され、こちらに背を向け歩いて去っていく松陽の姿。その両側に先程の見知らぬ人達と同じ服装の人だ。錫杖を持っていた。
「 ………先、生ぇ……っ 」
泣き声のような、何かに縋るような声だった。お願い、止まってと。こっちを振り向いてと。導いてくれる光がなくなってしまうと。
松陽は一瞬立ち止まるが、左側の人が「止まるな」とでも言いたげに無言で催促した。
「 ……………………………… 」
連れていかれる
ビリッと全身に電撃が走る。その衝撃か、体の内側から熱くなって頭がスゥッと冷静になった。目がかっ開いて来たのがわかる。瞬きなんて許されなかった。
倒れていなかった錫杖を持った一人が一直線に向かって走ってくる。横からの攻撃にいち早く気づいたAは振り下ろされた錫杖を奪い取るように掴み前に傾いてきた目の前の人の首を蹴り小さくゴッ、と鈍い音がした。
首の骨を折られ、倒れる目の前の人にAは錫杖で人間の急所を二度刺した。
血で、頬が汚れた。
もうピクリとも動く様子がない血を流す人は銀時を狙っていたのだ。Aにはそれが分かった。何としても近くにいる銀時を守らなければと先生を連れていった人達を殺らなければと、そればかり考えていた。
仲間が殺されたからか、五、六人でAに襲いかかってきた。
しかし彼女は動じることなく先程刺す時に使った錫杖を横に振り、二人の敵を斬った。手が血で汚れ、錫杖を落としてしまったAは素手で相手が持っていた武器を壊しそのまま鳩尾を小さな拳が深くめり込ませた。
引き抜くと同時に足を巧みに使い残りの敵も倒す。
「 ( なんでも出来る ) 」
そう思った彼女の瞳に光はなく、まるで“母親の時”と同じだった。
人を殺し、返り血を浴び、血溜まりの上に立つ姿はまるで…………、
「 これも、一族の“設定”なのね 」
「 ああ、どうか娘を……私の子達を 」
「 愛してあげて 」
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運動系引きこもり(プロフ) - 琥珀@中也が尊いさん» 琥珀@中也が尊いさんコメントありがとうございます!分かりました、検討してみます! (2021年2月28日 12時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
琥珀@中也が尊い(プロフ) - 表紙がすごい銀魂感。作者様が書かれたのですか?あの、作者様が書かれたのであればもし宜しければ文字がないバージョンを上げて頂きたいです。すっご表紙好きです (2021年2月28日 1時) (レス) id: bc2916a5a7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - きみをさん» きみをさんコメントありがとうございます。あぁぁあ、ありがとうございます……ッ!更新頑張りますので是非とも本編の方も読んでいってください……!! (2021年1月31日 13時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
きみを - はぁぁぁ好きすぎる、、更新楽しみに待ってます! (2021年1月30日 23時) (レス) id: 2684e373b7 (このIDを非表示/違反報告)
運動系引きこもり(プロフ) - リアさん» リアさんコメントありがとうございます……!一気読みしてくださって嬉しい限りです^^本編もどうぞ読んでください!映画は私も泣きました……。これからも応援よろしくお願いします (2021年1月26日 0時) (レス) id: 9fef19786d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:運動系引きこもり | 作成日時:2020年2月9日 17時