第2の怪 首つり団地 壱 ページ10
邪教の事件があった日から数週間後、GWに入った時に透から一本の電話が入った。今思えば断っておくべきだった。
「やぁ、恭介。」
「なんだ、透か。何か用か?」
「いやさ、最近暇でさ。だから、どっか遊びに行かない?」
「別にいいけど、何処行くんだ?」
「最近というか、今ネットで噂になってるT団地にアレが出るって噂なんだよ。だからさ、恭介確かオカルト部に入ってるし、丁度いいんじゃないかなと思ってさ。」
確かにオカルト部に入ってるがそんな積極的に調査とか研究とかしてる訳じゃないから、別にどうでもよかったが、数少ない友人の頼みを無下には出来ない。俺は二つ返事で電話を切った。T団地………ね。まぁ、夜じゃないし暇を持て余してた所でもあるから丁度よかったな。そう気軽に思っていた。次の日、鉛を落としたような空の色で、雨は降らないものの嫌な天気だと思った。約束した公民館の前に急ぐ。公民館に着くと先に透が携帯をいじりながら待っていたのだが、その格好は原宿にでも行くのかっていうぐらいに派手というかおおよそ心霊スポット等に行く格好ではない。俺の姿を見つけると、笑顔で「やあ。」と言って片手を上げて降ったので俺も「うっす。」と言って片手を上げる。
「よし、じゃあ行こうか?」
「そうだな、まだ明るい方が安心する。」
「そうだね、じゃあ早速行こうか?」
こうしてT団地に向け出発した。T団地………廃墟と化している団地で取り壊す予定が滞っている団地で住んでいる人はホームレスぐらいで、普通に暮らす人は居ない。駐車場はひび割れホウキ草が生え放題になっており、不良やヤンチャな連中すらもよりつかず、この辺りでは有数の心霊スポットになっており、幽霊が出るなどの噂も多発している。雑談しながら件の団地に着き、下から上を見上げる。誰も寄り付かなくなった団地はだれかを喚んでいるようなそんな気がした。周りを見ても誰も居ない。ホウキ草が生え放題になっている駐車場、所々ヒビが入っている窓、明かりも無い部屋。まるで、時が止まっているような錯覚さえある。
「十年ぐらい前までは人住んでたんだよな?何で居なくなったんだろう………。」
「色々噂があるけど、一番はアレかな?」
「あれ?」
「前に恭介が会った邪教の幹部の一人が首を吊ったらしい。だけど、かなり不可解だったらしいよ。」
ここにも例の教団が絡んでくるのか。あの時の事を思い出して苦虫を噛み潰した顔をする。その時、冷たい嫌な風が吹いた。
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夜行 - 大好きですよ。この作品。更新待ってます。応援しております。 (2016年8月19日 22時) (レス) id: cd7a83a97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カニ x他1人 | 作成日時:2016年3月1日 22時