取引 ページ41
〜スマイルSide〜
これは、俺がこちらの世界で目覚めた時の話だ。
〜
冷たい感覚が身体を襲う。
俺はきりやんの身体に意識体としていたんじゃないのか。
そもそも此処は…。
未だ目覚めて朧げな視界で、俺は自分の手についた鎖を見て飛び起きる。
身体は椅子に繋がれていた。冷たい、鋼鉄の。
「っ!?」
「…やっと起きたか」
その低い声に俺は聞き覚えがあった。
そいつは、俺の最も会いたくない相手だった。
「…お前、俺に何した。…彼奴は、きりやんはどうしたんだよ⁈俺と引き離したら消えちまうだろ⁉」
「その呪いなら俺が既に解いた」
『アウトランドの王』こと、ネビュラ・ストラデル。
「なっ…」
「…お前は一体何をしていたんだアイン。俺の支配にとって一番厄介な存在である魔法使い、特に白魔法使いをこちらに来させないのがお前の役割だった筈…」
「俺はっ!」
呆然と座り込んでいた俺は、かっとなって立ち上がる。が、足に付いた鎖が動きを止めた。
その頑丈さに絶望が垣間見える。半ば諦め、再び椅子に崩れ落ちた。。
「…ストラ。俺は、お前の手下に成った心算は無い…。」
否、語尾が落ちる。
でも、俺は此奴に拾って貰った。それは確かなのだ。
「…そう言うと思ったからな。お前に見せておかなければ行けない物がある」
そういって彼は、黒く光る水晶を俺の目の前に突き出し呪文を唱えた。
水晶に黒い煙が現れ、その煙は映像を映し出す。
それは5色の色を纏った、俺の親友たちの姿。
「これは…」
「此奴らは今次元の狭間に居る。お前だけ連れ出したんだ。」
「…何をする心算だ、お前…」
声が低くなる。
「…此奴らは直前、ワープゲートを開く前にそれぞれの魔力の半分を魔力魂としてクリスタルに注ぎこんだ。それを、完全に割ったらどうなるか…」
俺の顔から血の気が引いた。
そんな魔力魂を作るには、膨大な魔力と、それと勇気が要るのだ。
魔力魂が壊された時、その魔力魂の主も魔力崩壊する。
「…止めろ」
「なら、取引だ。…今俺はこの世界を手に入れる為に戦争を始めている。それを手伝うんだ。絶対に服従すると誓え。…此奴らの命は、この次元の狭間に居る限り俺が触れるんだぞ。」
闇の取引だった。
此奴に従えば、俺は自由を失う。
それはずっと続いた苦しい生活で学んだただ一つの事だった。
でも。
「…解った。その代り、そいつらを解放しろ。今すぐにだ!」
「…嗚呼、いいよ。」
そうすると彼は、平気で俺の期待を打ち破った。
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べにくん - 続編楽しみですね〜! (2019年7月14日 15時) (レス) id: d72e94c381 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 続編も楽しみに待っています! (2019年7月14日 12時) (レス) id: 9242bd45dc (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 抹茶んさん» 始めまして!全部読んだんですか?!ありがとうございます、頑張ります! (2019年6月29日 17時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - べにくんさん» ありです!亀ですが頑張ります♪ (2019年6月29日 14時) (レス) id: 689ccac82f (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 夏々さん» 有難う御座います!(*´ω`) (2019年6月29日 14時) (レス) id: 689ccac82f (このIDを非表示/違反報告)
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