掴め ページ31
〜NakamuSide〜
バシュッ！
「った！」
肩に焼けるような痛みが走る。
俺と彼の力の差は歴然だ。
「分からないな。早く降参すればいいものを」
「降参なんてするもんか」
再び剣を構える。再び二つが一気に動いた。
さっと後ろに回り込むと、下向きに持ったナイフをざしゅっと突き刺した。
紅い飛沫が眼前を覆う。
やった！
「お前には目がついていないのだな」
「っ！」
そう思った矢先、後ろから気配を感じた。
さっと右に飛び退く…のは俺じゃ無理だったか。
俺が刺した敵はただの幻影に過ぎなかったのだ。
ざしゅっ…。
今度は俺の背から飛沫が噴出した。
「ぐあ゛っ！！！」
鋭い痛みに耐えられず地面に伏せる。フードは外れて、嫌な程長かったコンプレックスである茶髪が露わになる。その頭に彼の足が乗った。
「今降参すれば、下僕に加えてやらんことはない」
…は？！誰がそんなこと。
と普通だったらいう筈なのだ。
だが背中を刺され倒れた俺には、もうそんな力は残っていなかった。
治癒魔法を使おうにも腕が、口が開かない。
...いつもそうだった。
あの時も。
〜
『おーいNakamu!!そっちは違うぞっ！！』
『いいよーだついてこなくて！俺は帰る！！』
彼らの中に居る間に俺は、自分の強さを誤解してしまっていた。
ふとしたことから喧嘩になり投げ出して深い森の中に入った時の事。
『う…わ…』
森の中で敵に見つかり、俺一人だと太刀打ちも出来なかった。
『ごめん…みんな...』
俺、捕まっちゃった。
そう思った時、あいつらの声が聞こえたんだ。
俺を無視して旅を続ければよかったのに。捕まるかもしれないのに。
わざわざ、此奴らは。
『ごめんなさい』
『たく馬鹿やろうだな...ほら、帰るよリーダー！』
『...うん！』
〜
俺は今まで。
助けられないと何も出来なかった。
支えられないと「ありがとう」もなにも言われなかった。
でも、もうそれも終わりになるのなら。
「最後くらい、俺だって」
『ヒーロー』になっても、いいか？
「う...」
痛みを我慢して、必死に起き上がる。
きんとき、魔力崩壊とかしたらごめん。
「、まだ立てるのか」
「まだ戦えるっ！！！」
いや、違うな。
この一発で、終わらせる。
紋章は無いけど。
彼らの様に、手の甲にもう一つの手をかざして見せた。
「ピューヒケーション！！！！！」
今の俺なら、きっと最高の魔法も使える筈。
そうだ、きっと。
今の俺に起きている偶然はきっと、
彼らを守るため。
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すみれ - 完結からずいぶん遅れましたけど完結おめでとうございます!とてもいいお話でしたよ!最高のお話ありがとうございました (2022年10月19日 17時) (
レス) @page38 id: a70cb7c9e5 (このIDを非表示/違反報告)
らっきー(プロフ) - 更新遅れてほんっとにごめんなさい…。ていうか今日の掛けあい分かりにくっ？！ちゃんとスペース開けたのに…。 (2019年7月23日 20時) (レス) id: db40170fca (このIDを非表示/違反報告)
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