一瞥もくれず ページ11
◆
「御館様、失礼仕る」
__ドンッ
一陣の風が如く、座敷へ上がり込むと瞬く間に日輪刀を構え始める。
背中に“殺”をという文字を背負った傷だらけの男が、嫌でも次にする行動を察してしまった俺は喉が潰れる程、声を絞り出して叫んだ。
「禰豆子ォ!!
やめろぉおおーーーッ!!!」
叫んだのも束の間、左右非対称の瞳に縞模様の羽織、口許は包帯で巻かれた特徴的な男に抑え込まれてしまった。
「かッ…」
息ができない…動けない…っ!!
ただでさえ、那田蜘蛛山での出来事で深手を負っているのに、上から尚も強い圧迫に辛苦で顔が歪む。
『竈門ッ』
「A、もう少し待て。」
『義勇殿…良いのですか?あのままでは…』
「大丈夫だ。」
『義勇殿がそう言うのであれば…』
耳の片隅で
だが俺には、傷だらけの男が禰豆子を幾度も日輪刀で木箱を刺している場面から目を離すことなんて出来なかった。
「出てこい鬼ィィ!お前の大好きな、人間の血だァ!!」
___バキャッ
「……」
男によって木箱の扉部分を無理矢理破壊され、よろけながらも身を立ち上がらせる禰豆子。
「フゥ、フゥ、フゥ」
未だ血が滴る男の腕を凝視し、息を荒らげる妹。
那田蜘蛛山で下弦の伍との死闘、先程刺されたことによる流血。
飢餓状態に陥るには充分な状況だった
そんな危機的な状況に追いやられてる妹を助けようと、身を捩るも拘束から免れる事は出来なかった
その様子を察した、柱の一人である胡蝶しのぶは同じ柱である伊黒小芭内を
「伊黒さん強く押さえ過ぎです。
少し弛めてください」
だが伊黒は静止を受け入れずに、
「動こうとするから押さえているだけだが?」と腕に込める力を弱めようとしない。
その為、胡蝶は次に炭治郎を窘める。
「…竈門君、肺を圧迫されている状態で呼吸を使うと血管が破裂しますよ。」
「血管が破裂!!いいな、響きが派手で!!
よしいけ、破裂しろ!」
『宇髄さんやめて下さい。死にます。』
「可哀想に…何と弱く哀れな子供」
それでも炭治郎は呼吸を使うのを辞めない。
「竈門君!!」
『竈門ッ』
「ガ、ア、ア、ァ」
__ブチブチッ
炭治郎の腕を拘束していた縄が勢いよく千切れる。
それを見計らっていたかのように、冨岡が伊黒の手首を強く掴む。
拘束から開放された炭治郎は咳き込みながらも、妹の名を叫んだ
「禰豆子!!」
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視点混雑?
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渦(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます!コメント返信遅くなってしまって申し訳ないです!!これからも頑張って更新させていただきますね! (2021年9月15日 21時) (レス) id: d1870f2c27 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月9日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渦 | 作成日時:2021年1月6日 1時