第6話 ページ6
貴「お先失礼しまーす」
「お疲れ様〜」
がちゃん、と扉を閉めると同時に何度目かのため息が出た。
引きずってても仕方ないと思ってたけど、やっぱり初ミスは引きずるよなぁ。
帰ってグリムにでも愚痴るか…
フロ「小〜エ〜ビ〜ちゃん」
貴「え?」
馴染みのある呼び方で顔を上げた。
そこには部屋着姿のフロイド先輩が手を振っていた。
貴「フロイド先輩、お疲れ様っす」
フロ「おつかれぇ。
迎えに来たよ」
貴「え、そんなわざわざ?
なんかすんません」
フロ「わざわざってか、当たり前じゃん。
俺彼氏だし」
彼氏というワードにドキッとしたが、はははと誤魔化した。
貴「そーでしたね」
フロ「…小エビちゃん、なんかあった?」
いきなりそう言われ別の意味でドキッとした。
なんでわかったんだ、この人。
貴「なんで分かったんすか」
フロ「分かるよ。
ずっと見てたから」
貴「み、見てたって…」
フロ「小エビちゃん言ったじゃん。
好きな人じゃないと付き合えないって」
貴「言いましたっけ…?
まぁそういうニュアンス的なことは言いましたけど…」
てことは、フロイド先輩本気で…
フロ「小エビちゃんが付き合ってるって思ってなくても、俺は思ってるよ。
だって小エビちゃんのこと好きだもん」
なんでこの人は普通に照れるセリフをスララーっと言えるんだ。
貴「そうですか、ありがとうございます」
私には分かる。
フロイド先輩のペースに持っていかれたら、私も彼に落ちてしまう。
気分屋の彼はきっと私に飽きたらすぐ離れて行くだろう。
だったら飽きられないように上手く調節しないと。
ん?
…飽きられないように??
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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年4月16日 17時