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第28話 ページ28

振り返ると薄暗くも視認できる、抜刀した豊前くんが立っていた。


貴「豊前くん…」

豊「悪いな、それは俺んとこの主なんだ。
返してくれ」

「…」


すると、私の腕を掴む手を中心に皮膚がボロボロと崩れ落ち始めた。

その姿は私もよく知る時間遡行軍だった。


豊「現世にも紛れてるって聞いたが、擬態してるとはな」


強く腕を引かれ、首筋に切っ先を向けられる。

豊前くんの顔が強ばった。


どうする…

どうする…


豊「主!」


顔を上げると彼はニッと笑った。


あぁ…

不安を感じない優しい笑顔だ。


安心する。


貴「ぶぜ」


瞬間、プツという音と共に頬に痛みが走った。

素行軍の切っ先が頬を斬ったと分かるのに時間は掛からなかった。

伝った血が口の中に入って気持ち悪い。


豊前くんが後から来た敵と交戦している。

こんな狭いところじゃ戦いにくいに決まってるのに、無我夢中で刀を振るってる。


私のために…

私なんかのために…


傷を負って、顔を顰めて、それでも刀を握り続ける姿に涙が出た。


その時


桑・松「「うぁぁぁあああ!!!」」


頭上から大きな声とともに2人が降ってきた。

素行軍は咄嗟に私を抱き抱え後ろに飛び退いた。


豊「おぉ!良かった間に合ったか!」

桑「おまたせ!豊前!」

松「足いった…」


2人は私を見ると途端に表情を変えた。


松「血…僕達の主の血を…流させるなんて…」

桑「許せないよね」

松「殺ろう、徹底的に」

桑「当たり前!」

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作者名:華ヶ崎レオ | 作成日時:2023年12月8日 5時

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