【猫犬】モノクロ前日譚 ページ21
世界のどこかにある、第三裏天王()めいろの研究所。
この日も客の足取りは途絶えず、めいろは接客に追われていた。お金と納期の話ばかりだと心も荒んでいく。
「ああもう眠い…!本来この時間は寝てるはずなのに…!」
やっと午前中最後の接客を終えて苛つきながらフラスコを複数手に取ると、彼女のそんな気持ちもどこかにふっ飛ばしてしまうように元気よくその人はやってきた。
「めいろさーん!」
エクスクラメーションマークが一つでは足りないほどの大声で、ダダダと勢い良く走ってくる青色。めいろは抱き着かれてもいいようにフラスコを机に置き、「また君か」と声のする方を見た。見ずとも声の主が誰かは分かっていたのだが。
だが、いつまでたっても今日は抱きついて来ない。あれ?とめいろは内心首を傾げる。
「どうしたの?」
「皆が真っ先に私を殺そうとするから逃げてきた。…私だっていつも元気ってわけにはいかないよ」
そう尻すぼみに答えた青色の子供は、第二天王()猫犬。
麻呂眉にエメラルドの瞳。アシンメトリーの青い髪を後ろで一つに結び、アイロンのかかった長袖のYシャツに胸には紫のリボンタイ。サスペンダー付きの黒い短パンで、手には白い手袋。ローファーは新品同様ピカピカ。そこから伸びる黒いハイソックスにも毛玉一つなく、お家柄の良さを想像させる。
見た目は子供だが、人間の寿命とは別のものさしで生きる猫犬は既にめいろの何十倍も生きている。
猫犬はめいろが机からフラスコを寄せると、空いたスペースに突っ伏した。
いつも元気な猫犬が弱音とは珍しい。
めいろは一瞬驚いたが、顔には出さずににこりと笑った。
「そうか。ここは私しかいないし、好きにしてていいよ。笑わなくてもいい」
「…」
猫犬が小さく頷いたのを確認し、めいろは再びフラスコに向き直った。
誰も何も言葉を発しない研究所の一室。騒音でかき消されていたクラシックが再び聞こえ始め、猫犬はいつしか夢の世界へと旅立っていった。
猫犬が意識を取り戻したのは、窓から見えていた太陽がすっかり山の向こうに帰ってしまった頃。
目の前で何やら実験を繰り返していためいろもいない。
「めいろさーん…?」
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めいろ(プロフ) - 天王()以外の第三勢力による作品につきましては「ファンによる二次創作」と称し二次創作タグをつけております。裏天王()が微妙な位置づけのため二次創作とタグ付けしましたが、今回のように誤解を生む可能性を考慮し、二次創作タグを外します。ありがとうございました (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - まるさん» 閲覧&コメントありがとうございます^^身内ネタのため、誤解を与えてしまったようです。当作品は創作でございます。天王()メンバー全員が、自身で作ったキャラクターに自身の名前をつけております。そのためメンバーが作った作品はオリジナルとして出しております。続 (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年9月25日 21時) (レス) id: e6f4a54f51 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - 猫犬さん» あ!!重傷の人だ!!!笑ありがとう・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2018年9月23日 23時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
猫犬 - わーい!!!!めっちゃ面白い!続き全裸待機する( ˇωˇ ) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 21c60ad337 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいろ | 作成日時:2018年9月17日 4時