モノクロ ページ20
「…そうやろうな」
めいろは天王()と関わりを持つ前から、薬の研究兼販売を生業としていた。彼女が猫犬や裏天王()のじの、栗花落等と出会うきっかけになったものもとどのつまりは薬品関係だったか、と軍曹は過去に思いを馳せる。
「だけど、それがもしかしたら君らの敵かもしれない。それなら私は商売人としてはあるまじきことだが、その組織との取引を打ち切ろう」
「……」
再び黙り込む軍曹。めいろはいつの間にか両手を下げている。
「1万ユーロはその手数料みたいなもんだ」
「手数料高すぎやない?」
「大事な顧客と金輪際縁を切るんだよ?この先生まれるだろう利益を捨てることになるんだよ?そのくらいは必要経費でしょう」
「ふうん…」
そのままその場で考え込む軍曹。めいろも動かない。
しばらくののち、軍曹は「わかった」と呟いて構えた弓矢を下ろした。
「5,000ユーロ払うわ。敵対組織の名前だけ伝えるから、そことだけ契約を破棄して。他の情報はくれなくていい」
「その敵対組織が別の組織と同盟や連携を組んでる場合、一方だけに薬を売らなくなっても全く意味がないけど、それでも情報は開示しなくていいのね?」
「……あー。そっか……」
軍曹は再びその場で固まる。こういうときはつかさんが適役なのに、とこの場に彼女がいないことを恨めしく思った。
「…わかったよ。1万払う。払えばいいんだろー」
「物分りが良くて助かる。1万円じゃないからね。1万ユーロだからね?」
「わかったっつーの」
ふふ、と笑ってめいろは机の向こう側からこちら側へ歩き始めた。
「裏切るとか裏切らないとか、私はそんな次元の話はしない。私は私のためだけに生きる。面白そうなことには乗るし、面倒なことには関わらない。…それが私、めいろさんなんだ。ごめんね」
「それは薄々感じてたけど…。天王()のためにも動いてよね。そのための裏なんだから」
「そうか」
めいろはにこりと笑った。その笑顔に疑念を抱きつつも、軍曹はくるりと背を向ける。
「小切手持ってくるから顧客名簿用意して待ってて」
「はーい」
足元のRPGを拾い上げ、軍曹はすたすたと研究室から出ていく。めいろは笑顔でそれを見送っていたが、軍曹の姿が見えなくなると、笑顔を消して両目を薄く開いた。
「天王()のために、か…。その時が来たら考えるよ」
彼女一人残された真っ白なその部屋で、彼女は真っ赤な唇を歪ませた。
END
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めいろ(プロフ) - 天王()以外の第三勢力による作品につきましては「ファンによる二次創作」と称し二次創作タグをつけております。裏天王()が微妙な位置づけのため二次創作とタグ付けしましたが、今回のように誤解を生む可能性を考慮し、二次創作タグを外します。ありがとうございました (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - まるさん» 閲覧&コメントありがとうございます^^身内ネタのため、誤解を与えてしまったようです。当作品は創作でございます。天王()メンバー全員が、自身で作ったキャラクターに自身の名前をつけております。そのためメンバーが作った作品はオリジナルとして出しております。続 (2018年9月26日 3時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年9月25日 21時) (レス) id: e6f4a54f51 (このIDを非表示/違反報告)
めいろ(プロフ) - 猫犬さん» あ!!重傷の人だ!!!笑ありがとう・:*+.\(( °ω° ))/.:+ (2018年9月23日 23時) (レス) id: 31367e4336 (このIDを非表示/違反報告)
猫犬 - わーい!!!!めっちゃ面白い!続き全裸待機する( ˇωˇ ) (2018年9月22日 19時) (レス) id: 21c60ad337 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めいろ | 作成日時:2018年9月17日 4時