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赤い瞳をした黒く大きな番犬は、ケルベロスと呼ばれるようになった。
彼は、黒いもやもやから箱を守る為に戦い、戦いが去った後は箱に寄り添いその身を休め、大事なものを守るようにその身を丸くして箱を抱えた。
そして、いつの間にか。
箱に背を向け、番犬の横であぐらをかいて座る青年の姿が現れるようになった。
箱からは、彼がどんな表情をしているのか、一切見る事は出来なかったけれど。
赤い瞳の番犬に寄り添い、その背を撫で、番犬も彼の膝に頭を預ける姿を見ると、心を許し合っている相手なのだと伝わってきた。
青年はいつも猫背で。
黒いもやもやの方を見ているか、自分の手元に視線を落としているか、番犬と寄り添っているか、そのどれかだった。
どうしてか箱の方を見ない彼に、箱はどうしてだろうと思いながら、その気持ちを伝える術を持たず、ただその背中を眺めるばかり。
番犬に対しては、寄り添い抱きしめ、自らが寄り掛かったり。
番犬の方も、彼のその性質を理解しているのか、されるがままになっていたり、時には寄り添ったりしているのに。
箱から見る青年は、いつも背中。
その寂し気な背中を眺める事しかできない。
青年は時折、箱に手を伸ばす。
伸ばされた指先が箱に触れそうになると、その手は動きを止め、間近で拳が握られる。
その時ふと見えた青年の横顔は、微笑んでいるようでもあり、今にも泣きそうでもあり、怒りを湛えているようでもあり、喜んでいるようにも見えて。
きらきらと水分を湛えた薄茶色のそれが、酷く印象的だと箱は思った。
青年は、番犬と肩を並べて戦う。
黒いもやもやが手を伸ばしてくれば、青年は番犬と連携してそれらを撃退し。
自らが囮となっても構わないと言わんばかりのその姿に、君だって傷付く必要は無いのにと箱は思う。
そうして幾度の戦いを終えた彼は、初めて箱に顔を向けた。
その表情は……やはり、あの時の横顔と一緒で。
踵を引き摺るように箱の前にくると、怠そうにしゃがんでそっと箱を撫でた。
「この人バカだよね、番犬なんかになっちゃってさ」
愛おしいもの見る瞳をした青年は、きっと箱が守る『何か』が酷く大切で。
「だからさ、ワタシも一緒にいてあげようかなって」
ゴシゴシと擦られた箱の前に青年の姿は無く
金色の瞳をキラキラさせた茶色の番犬が、そこにいた。
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あっちゃん(プロフ) - 黒衣さん。mioちゃん。たくさんポチしたい！いいね？ずーっと押していたいよ。 (2019年7月8日 11時) (
レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうです^^ お読み頂けて嬉しいです。私もmioさんと同じくイイコじゃないので、言霊を信じて思いの丈を言葉に乗せたいと頑張ってます。沢山もらった元気と勇気と幸せ、少しでも私達から彼らに返したいですね。彼らの笑顔は私達の原動力だし！(笑) (2019年4月27日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます。彼らの優しさに温かさに胸一杯になり涙しました。私も強くあらねばと思いました。沢山沢山、元気と勇気と幸せをもらったから、そんな彼らを応援したいと思います。やっぱり好きな人には笑顔でいてほしいから。 (2019年4月16日 10時) (レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりまして(汗) 楽しんで頂けたようで嬉しいです、ありがとう…って仕事中かい！(笑) でも、何度も読んで頂けたのとても嬉しいです！でも良い子は真似しないように！(笑) これからも楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりました(汗) 少し落ち着いたのですね^^ 緩む事も大事ですよね、爆発する前に。そして後悔しないようにしたい人発見！(笑) 反省はいくらでもして良いと思うんです、後悔したって取り戻せないし。そしてシンパシー！(笑) (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みおくろえ
x他1人 | 作成日時：2019年2月7日 23時
