照らすために息をしている (ページ38)

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37．全ては泡のようにページ38

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「なあ、Aさん」

「ん？」

こそこそと小さい声で話しかけてくるしょせちゃんに意識を移す。

「るっくんと何で別れたん？」

店内は賑やかなのにしょせちゃんの声がやけにクリアに聞こえて、突然の質問に息が止まるかと思った。

てっきり全部知っていて知らないふりをして誘ってくれたのかと思っていたけど、そんなことはないみたい。

冷静を装ってグラスに残ったお酒を飲み干すと、
アルコールのにおいがさっきよりも濃く感じた。

そういえばしょせちゃんと瑠姫は兄弟みたいに仲が良かった。

瑠姫をあんなふうに揶揄えるのはしょせちゃんくらいだったなあ。…いや、景瑚もか。

ああ、そうだ、マネージャーのおかしパーティーにみんなが参加するようになったのは、瑠姫が参加するようになったからだった。

「…まあ、離れると色々あるよね」

「色々って…るっくんも何も教えてくれへんし…」

「、そうなんだ」

「Aさんと一緒にいるるっくんって見たことないくらい幸せそうな顔してたやんか、俺2人はずっと一緒なんだと思ってた」

「永遠なんてないからね」

出来るだけ軽く返すと、しょせちゃんは不満そうに顔を曲げる。

…本当に何も知らないんだな。

「別れてからるっくんほんまに辛そうで」

「しょせちゃん、何を言われても終わった話だよ」

「…Aさん」

「私だって死ぬほど辛かったよ」

自分でもびっくりするくらい冷たい声が出てしまった。

しょせちゃんはさっきとは打って変わって、眉毛を下げて申し訳なさそうな顔で私を見つめるから罪悪感が胸を覆い被す。

「…ごめん、無神経やったな」

「ううん、平気」

タイミングよく、「みんな追加注文ある？」と聞こえてきた声に「私レモンサワー！」と大きい声を出す。

それに合わせてしょせちゃんも「俺も同じの！」と言った、その瞬間に遠くに座っていた瑠姫とまた目が合った。

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