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040.ありがとう ページ41

『泉さん、もう大丈夫です。』

徐々に落ち着きを取り戻し再びベンチに腰を下ろす。

日はもう落ちかけていた。



『泉さんのおかげで大分スッキリしました。』

「うんうん、俺もアンタのブサイクな泣き顔が見れて満足。」

『やっぱり今のなしで。』

「はいはい、明日までにはその顔何とかしてきなよぉ?」


『.....はい。』

泉さんはスっとベンチから立ち上がる。

「泣き止んだなら帰るよ、ほら、立った立った〜。」

『先に帰っていいですよ?まだ暗くはないですし...』

「はぁ...バカだねぇ、ほんと。お兄ちゃんの言うことが聞けないのぉ?」


ほら、行くよ。と背を向けて歩き出す泉さん。


『え、あっ、待ってください!』

徐々に遠ざかっていく泉さんの背中を小走りで追いかける。


「 ん〜、どうせだしどっか寄ってく?Aお腹空いてるんじゃない?」

『え、いいんですか?』

「 まあね〜。何か食べたいものある?」

『お肉!お肉がいいです!』

高級なお店でもいいですよ?なんて軽く冗談を言ってみる。
調子に乗るな、クソガキなんて言われるんだろうなと後先のことを考えて少しだけ身構える。


「ふふっ、はいはい。お肉ねぇ...♪」


機嫌がいいのか泉さんの口元は緩やかな弧を描いていた。


「それだけ元気があれば心配いらないねぇ。」

『泉さん...。』


思えば本当に泉さんには助けてもらってばかりだった。

感謝してもしきれなくて
叶わないはずの、誰にも気づかれずに終わってしまうはずだったこの恋を貴方に見届けてもらえて――


『泉さんが本当のお兄ちゃんだったらよかったなぁ___』


――ありがとう
こんなありきたりの言葉じゃ伝えきれないけれど。


「はぁ?」


無意識に呟いていた本音はどうやら泉さんに聞こえてしまったらしい。


『__なんて、冗談ですよー!ほら、早く行きましょ!』


止まりかけていた泉さんの足を動かすために少し強めに彼の手を引いた。
端正な睫毛が上下すると綺麗な空色の瞳が瞼の向こうへと消えていく。


「____俺も、Aが本当の妹だったら毎日飽きなくていいかもねぇ。」

終わってしまったことは元には戻せないけれどだからこそ残りの時間を大切にしたいとおもうわけで。

最後のライブを成功させて笑顔で終われるように、
Knightsらしく有終の美を飾って卒業しよう。

そんな風に言えば、


泉さんは「そうだねぇ。」と言って目を細めて微笑んだ。

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櫻田たると(プロフ) - 滅茶苦茶泣きました!胸がいっぱいになる素敵なお話でした。終わってほしくないっ!て過去一感じた作品です。嵐ちゃんだいっすきなのでフォーカスを当てて書いてくださりありがとうございますっ (1月29日 2時) (レス) @page50 id: 3341c19ec1 (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - めちゃめちゃ泣きましたありがとうございました(TT) (2022年6月19日 2時) (レス) @page50 id: be4291906f (このIDを非表示/違反報告)
紅狼鬼 - 涙が止まりませんでした。最高に素敵なお話で…knights推しの私にはたまらない話でした (2021年4月13日 7時) (レス) id: 343eec77e7 (このIDを非表示/違反報告)
梓桜 。 - はじめましてこんばんは、嵐,泉が最推しのうち2人になっている嵐ちゃんに好きが溢れて止まらない者です。 とても素敵なお話で泣いても泣いても涙が止まりません…こんな素敵なお話をありがとうございます。 (2020年10月26日 1時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
魅音 - 夢小説でこんなに泣いたの初めてです。このコメント書いてるときも泣きながらです(笑)こんなに感動できる小説を書いてくださりありがとうございます。 (2020年1月5日 1時) (レス) id: 759e209269 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シユ* | 作成日時:2017年1月9日 2時

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