038.強がりな私 ページ39
せっかく声をかけたのに泉さんは返事をすることもなく私の前を横切る。
『ちょっと···！無視しないでくださ＿＿＿』
ひと言文句を言ってやろうと思ったのに彼の次の行動によって私は言いかけた言葉を喉の奥にしまった。
雨に濡れてしまった渡すはずだったクッキーを泉さんは拾い、何を言うわけでもなく無言で私の隣に腰掛けた。
――どうだった？
――振られたの？
なんて、聞けることはたくさんあったはずなのに泉さんはこんなことを言った。
｢＿＿＿＿寒いよねぇ、最近。｣
普段と変わらないその態度にジン、と心が温かくなる。
『····そう、ですね。』
その言葉を最後に私たちは言葉を発さなかった。
無言の時間が2人の間を流れる。
昔は気まずかったはずなのに、今ではそんなこともなくて寧ろ心地良い、気さえした。
『＿＿＿＿····私、振られちゃいました。』
漸く落ち着いた私は静かに言葉を紡いだ。
｢···そっか。｣
ややあって無愛想な返事が返される。
『え、それだけですか？
泉さんなら笑ってくるかなぁって思ったんですけど…』
｢···そんな無理して笑ってるやつに言うわけないでしょぉ。｣
『別に、無理なんか····』
―――泉さんの言う通りだ。
私はただ強がってるだけ。
泣いてしまえば楽なのに、
全部吐き出してしまえば楽なのに、
それでもそうしないのは
怖いから。
―――現実に向き合うことに
―――支えを失うことに
俯いたまま何も言えずにいると泉さんは徐ろに手に持っていた小さな箱のリボンをゆっくり解いた＿＿＿＿
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櫻田たると(プロフ) - 滅茶苦茶泣きました！胸がいっぱいになる素敵なお話でした。終わってほしくないっ！て過去一感じた作品です。嵐ちゃんだいっすきなのでフォーカスを当てて書いてくださりありがとうございますっ (1月29日 2時) (
レス) @page50 id: 3341c19ec1 (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - めちゃめちゃ泣きましたありがとうございました(TT) (2022年6月19日 2時) (レス) @page50 id: be4291906f (このIDを非表示/違反報告)
紅狼鬼 - 涙が止まりませんでした。最高に素敵なお話で…knights推しの私にはたまらない話でした (2021年4月13日 7時) (レス) id: 343eec77e7 (このIDを非表示/違反報告)
梓桜 。 - はじめましてこんばんは、嵐,泉が最推しのうち2人になっている嵐ちゃんに好きが溢れて止まらない者です。 とても素敵なお話で泣いても泣いても涙が止まりません…こんな素敵なお話をありがとうございます。 (2020年10月26日 1時) (レス) id: f31cec74f3 (このIDを非表示/違反報告)
魅音 - 夢小説でこんなに泣いたの初めてです。このコメント書いてるときも泣きながらです(笑)こんなに感動できる小説を書いてくださりありがとうございます。 (2020年1月5日 1時) (レス) id: 759e209269 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シユ* | 作成日時：2017年1月9日 2時
