晴れの日は2 ページ2
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「最近の王さま、雨の日と曇りの日しかレッスンに来ないわよねぇ?」
「そうですね、こう晴れの日が続くと全く顔を出さないので...。嫌、別に心配してる訳じゃないんですよ、唯 Lessonが合わせられないので、その」
「ふぁ...ふ、心配してるならそれでいいんじゃないのぉ?ス〜ちゃんは本当に素直じゃないねぇ。」
「...くぁぁぁっ!凛月先輩!急に起きたと思ったら司の事を侮辱するのはやめてくださいまし!」
ぎゃあぎゃあと騒がしい セナハウスこと、スタジオ。
... まぁ ” セナハウス ” と名付けた本人はここに居ないのだが。
彼等の会話を軽く聞き流し、手元の小型端末に目を向けた。
表示されているのは所謂 LINEのトーク画面。
名前部分には王さま。
王さまのLINEの元名は確かそのまま ” れお。” だった気がする。
「固定しておいて!!」と頼まれたのでその場で王さま、にしたからしっかり把握はして居ないが。
トップ画像は今年の夏にライブをした時のヤツ。
なんだかんだ撮影以外で遊ぶ暇なんてなくて 帰る日の夕方に少しだけ足を浸けた。
夕日をバックに写真撮ろうなんてくまくんが言い出して、その場のノリでみんなで集まってピースなんかしちゃって。
面白半分で王さまに送りつけたら、その日から王さまのトップ画像は黄昏色が目に鮮やかな青春の1ページになる。
自分は居ないのにいいの、と何度も問うたけど王さまは頑なにその画像を変えようとはしなかった。
あの日は、過ぎ行く日々が楽しくて楽しくて仕方がなかったのだ。
勿論 王さまが帰ってきてからも楽しくない訳ではない。
少し雰囲気が変わって、少し日常がズレただけ。
... 否、戻っただけ。
俺はあいつの事が嫌いじゃない
あいつの愛を具現化したみたいな、純粋で率直な曲も。
俺らのために作られた歌が、愛しくて愛しくて堪らない。
俺に歌わせてくれて、嬉しかったんだ。
だからこの、目の前に有る 「 ごめん。 」の文字を素直に受け止めることはできなかった。
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