夜 ページ2
.
隣でベランダの淵に手を掛ける彼を見ていた。
ぐっと力を込めて伸びをする。
固まっていた身体を解すように軽く動いて
それで、一回だけこちらを見る。
その目は心なしか寂しそうで。
綺麗なライトブルーの瞳も、ライトイエローの瞳も 揃って私に何かを訴えかけてくるの。
... でも、みかがこっちを見てくれたのは一瞬だから。
わからない。
わかんないよ。
「 なぁ、Aちゃん? 」
「 ... ん? 」
寂しそうな声で、私の名前を呼んでくれたのに。
私は お酒で少し掠れた声で小さく声を出すことしかできない。
「 みか 」ッて、呼んであげられれば良いのにね。
なんて他人事みたいに思ってから彼をこっそり見上げた。
そしたらみかは、こっちを見てたんだよ。
瞳はそう、寂しそうなの。
でも、やんわり笑ってる笑顔にきっと嘘偽りはない。ソウイウコトが苦手なのはようく知っているつもりだったから。
... そんな私を欺く笑顔が出来るようになったとは、思いたくないし。
__ それで、私の頬をむにって掴んだ。
思わず出た素っ頓狂な声に、みかはいつもみたいに苦笑いをこぼした。
「 部屋、戻ろっか。Aちゃんも、身体冷やしてまうし。 」
「 そ、だね。 」
別に、何も思ってないわけではなかった。
.
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ