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「 これは、 」
「 ふふ、知らなかったですか？ 」
「 うん、知らなかったなぁ...。 」
病院裏の森、少し入り組んだ先に有ったのは大きな墓。
御丁寧に十字架まで刺さっている。
成る程、と心の中で勝手に納得した。
何より気になるのは ” 誓い ” についてと、右ポケットに入れた小さなピアス。
穴は 彼女が開けていたのを見て、無理を言ってこの前開けてもらったのだ。
今は 所謂「 透ピ 」といわれるものを付けている。
だが、この前外出許可が出た時にプレゼントとして買ってきた緑とピンクの飾りが付いたピアス。
これの片方をあげようと思う。
... もう片方は、自分で。
「 これ、私のお墓なんです。死んだ時に、一番お世話になって 一番ゆかりのあるここに入れてもらおうと思ってて。 」
「 なるほどね、 」
彼女は僕の手を緩く握った。
寂しげに瞳を揺らして、小さく息を吸ったから
その言葉を、決意を止めるかのように口元を手で覆った。
小さく微笑んで、僕がこの清らかな空間に言葉を紡ぐ。
身勝手だって解ってるけど、最後くらい格好付けさせて欲しかったんだ。
__ 許してよ、
「 僕、天祥院英智は瑠璃川Aが戻って来る頃には。君が憧れてたトップアイドルになってると誓うよ。
... 戻って来てね、僕の腕の中に。 」
「 私、瑠璃川Aは...。う〜ん、なにを誓おうか。英智先輩との、愛を誓います。
絶対 余命宣告なんて無視して 生きて帰って来ますから、こんな重い私のこと待っててくださいね。
浮気したら怒りますよ？ 」
「 するわけないだろう？心配しないでよ 」
「 えへへ、知ってました。ありがとうこざいます。その言葉がききたかった 」
彼女の淡く儚い微笑みは、直ぐにこの透明で澄み切った空気に 融けて飽和してしまいそうで。
怖くなって頬に手を添えてから、右ポケットに入っていた片方のピアスを差し出した。
「 えっ、ありがとう！これ、私にですか？ 」
なんて天然この上ない発言までするものだから、愛おしくて愛おしくて。
返答をしながら僕は自らの左耳に揺れるピアスを指差す。
見習って右耳を指して首を傾げる彼女に 、目を瞑っていることを促して 優しくピアスをつけた。
終わったことはまだ言わない。
右耳に揺れるピアスはこの人を待っていたと言わんばかりに嬉々としていて。
まるで踊っているようだった。
「 あいしてる、 」
口から溜息と共に漏れ出たその言葉が制御できる訳が無かった。
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ＭｉｎＴ(プロフ) - さくやーさん» わわ、閲覧ありがとうございます (^-^) そう言っていただけて何よりです！！！ (2017年5月30日 9時) (
レス) id: 2b0d780a77 (このIDを非表示/違反報告)
さくやー - 読ませていただきました！！とても面白かったです！英智様最高です！ (2017年5月30日 1時) (レス) id: 5ce56128e2 (このIDを非表示/違反報告)
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