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私は今、夏ならではの突き刺すような陽射しに当てられていた。
真っ白な鳥籠を抜け出して、大きく広い真っ青な海を前にして。
エメラルドグリーンのビーチサンダルの鼻緒が切れてるけど、それすらも気にならなかった。
... 気にして、られなかった。
鼻をつく潮の香りを胸いっぱいに吸い込んで、吐き出す。
何度も深呼吸して、飛ばされかけた麦わら帽子を押さえた。
揺れる純白のフレアワンピースも抑えて、
「 おや、 」
抑えた部分と、踊ってる裾で彼の姿が頻繁に見え隠れする。
風が収まるのを待って彼の姿を見直した。
_ 低い声からは想像がつかないクリーム色に近い金髪、瞳は煌めくミントアイス。
きょとん、と口許に手を持って行く仕草は 宛ら王子様のよう。
でも、その手には真っ白な包帯が巻かれているし
服だってシルクのパジャマ。
天色が地になっているそのパジャマからは高級感を感じた。けれど、とても似合っているからきっと困る事はないだろう。
「 あなたは、誰? 」
「 僕?... ふふ、僕の事を知らないのか。世間知らずなお姫様だ 」
少し馬鹿にするような笑い方、... 誰もが貴方を知ってるわけじゃないのよ。
王子様に少しだけ悪態を吐いて目線を落とす。
細かい砂が足にまとわりついてきて、
「 私は、」
「 瑠璃川 A。夢ノ咲学院普通科、1-B組。文芸部所属。... 合ってる? 」
「 __ ええ。 」
なぜ私のことをここまで知っているのか、私は聞かなかった。
いずれ解る気がしたし、なんなら聞かなくても大丈夫
... だと思う。
「 天祥院英智、さん。夢ノ咲学院、2-A。生徒会に所属していて、時期生徒会長候補として有力。かの天祥院財閥のひとり息子で体が弱い、 」
「 …うん、 」
「 合ってますか? 」
「 合ってるよ。僕のこと、ちゃんと知ってたんだね ♪ 」
「 まぁ、ピンときました 」
__ 真実を知った時、彼はどんな顔をするんだろうか。
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MinT(プロフ) - さくやーさん» わわ、閲覧ありがとうございます (^-^) そう言っていただけて何よりです!!! (2017年5月30日 9時) (レス) id: 2b0d780a77 (このIDを非表示/違反報告)
さくやー - 読ませていただきました!!とても面白かったです!英智様最高です! (2017年5月30日 1時) (レス) id: 5ce56128e2 (このIDを非表示/違反報告)
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