好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ18)

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あの日みたいに、ふたりでタクシーに乗っている。

“予定無いなら、健汰のとこ行かん？”

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『‥ねえ勇人、』

「ん？」

『大丈夫？』

その一言に、吃驚したように彼は私を見た。

「なにが、」

『‥‥気のせいかもしれないけど、疲れたように見えたから』

彼はまた吃驚したように目を見開いて、
窓ガラスの縁に肘をついて、外の景色に目を移した。

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「別に、疲れてへんよ。気のせいやろ」

私に視線を向け直した勇人は、口角をあげて、ポンッと私の頭に手を置いた。

これ以上、何も言えなかった。

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健「いらっしゃいませ」

「久しぶり」

健「お久しぶりです、」

彼の後を追うように、店に入ってカウンターチェアの背もたれをくるりと回す。

その動作の途中で、健ちゃんと目が合った。

健「Aも、久しぶり」

『、うん。久しぶり』

言われてみたら、健ちゃんにお店で会うの久しぶりだ。
仕事がバタバタして、メールの返事もろくにしてなかった。

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「ジントニック」

勇人はいつも、ジントニックを頼む。
ぶれないのも彼らしい。

健「Aはどうする？」

「モヒート」

一杯だけ。
だから、すこしくらい強くても大丈夫だよね。

数十分後
想像していた景色とは、まったく違うものになっていた。

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