好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ17)

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『勝っちゃった』

最後の一口
横にいた部長が、ビールを飲みきった。

「なあによ、その言い方。嫌なの？」

『まさか、』

ちょっとどうしたらいいか分からないだけで。

「何ボーッとしてんの？帰るよ」

『ぇ、はい』

周りの荷物を纏めて、席を立つ。

「明日も同じ時間に、球場にね」

『はい。お疲れ様です』

「お疲れ」

部長と別れ、改めて球場に足を向ける。

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『‥‥‥‥‥‥』

私に向けられた幾つもの目が、

一般ピーポーの私には慣れないことで。

私の視界の奥の方で、平然とした顔で
まるで自分が呼んだことなんか忘れてるみたいに、着替えをしている彼は。

何を考えてるんだろう。

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「馬鹿。そんなに見られたら彼女だって困るだろ、」

「勇人も放っておかない」

ロッカールームに入ってきた人が、みんなの頭をコツンと叩いて、奥にいる勇人に声をかけた。

『阿部さん』

阿「桜庭さんですよね。今日から取材頑張ってくださいね」

『はい。ありがとうございます』

勇人は奥の方から、こちらに歩みを進めてきて

「今日から俺と亀さん、慎吾、智之、誠司が取材でお世話になる桜庭Aさんです。よろしくお願いします」

その勇人の言葉で、周りの選手たちがよろしく、とか自己紹介をしてくれて

(もしかして、これが目的で呼んでくれたのかな)

(負けたら来るなって言ったのも、そのため？)

『‥よろしく、お願いしますっ』

「A、この後予定は？」

彼はいつだって、唐突だ。

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