31話 ページ31
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今日は来たる数学の小テスト前日。最後の補習も終わり、トントン先輩とのテスト勉強の甲斐もあり脳の状態は万全である。
そして、先輩との最後のテスト勉強のためいつも通り図書室に行く前に、飲み物を買いに自販機に立ち寄った。
グラウンドからは体育大会の応援団の練習の声や、その他運動部の声が軽快に響いている。
その声をどこか別の世界の事のように他人事でBGMにしながらしばらく自販機の前で頭を悩ませていると。
「Aちゃん」
「あ、……ケンちゃん、」
ミネラルウォーターのボタンを押した時、不意に声をかけられ振り返った。
そこには、どんな顔して話せばいいのか分からない選手権優勝のケンちゃんが立っていて、私はぴしりと固まる。
あの告白以来当たり障りのない会話しか交わせず、クラスメイトなのにどう接していいのか全くわからなくなっていた。加えて補習では毎日顔を合わせるので気まずさレベルはエベレスト級。むしろエベレストに登る方がマシ説。
「最近先輩とどう？」
「へ？いや……特に何もない、けど」
ニコニコしながらトントン先輩の話題を出され、咄嗟に若干嘘をつく。何も無くはない。むしろありまくる。
私の返事にふぅん、なんて言いながらもその場を立ち去ろうとはしないとケンちゃん。なんだろう、なんの用だろう。まさか先輩との進展具合を聞きに来たわけじゃあるまい。
「まだ付き合ってないなら……俺にもまだ望みある？」
「へっ？」
私の顔色を窺うようにチラリと目が合ったケンちゃんに、素っ頓狂な声が出る。
もうとっくに終わったと思っていたその話題をもち出され、夏の暑さとは別の嫌な汗が伝った。
「や……私、トントン先輩しか好きじゃない、から。それは…」
先輩に好きだと伝えるより、他人に先輩を好きだと言う方が何故だか恥ずかしい。普通逆だなぁとこの状況を棚に上げ要らぬことを考える。
「でも、俺はAちゃんしか好きじゃないんだよ」
そう言われても、私だってトントン先輩しか好きじゃないとしか言えない。別にケンちゃんの事は嫌いじゃないから断る理由にもならない。
勉強以上に脳みそフル回転で困り果てていた時、ふと背後から人の気配がしてそちらを見やれば。
「こんな所で何してんねん。はよ勉強すんで」
あ、怒ってる。
一瞬目に入った顔だけでそれがわかってしまい、ヒュッと心臓が縮んだ。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
