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それからほとんど夜通し起きて話し続け、目が覚めた時にはもうお昼近かった。
寝不足と軽い二日酔いで鈍痛のする頭を動かせば、後ろから腰に回るトントンくんの腕。あれ？私、ベッドで寝てたっけ、と記憶を呼び覚まそうとしたところで、後ろでモゾッと動いたトントンくんが素肌だったことに気づき全てを察した。
「……Aちゃん、起きとったん？」
「たった今」
寝起きと酒やけ特有の掠れた声でおはよう、と言った彼は伸びの代わりに私を力いっぱい抱きしめた。
「うぇ……ゲー出るよ」
「汚いな、ここで出さんでや」
もぞもぞと肩口で話す彼の吐息が擽ったく、身をよじれば「まだええやん」と再度ベッドに深く沈められる。ベッドというよりその腕の中に。
寝起きの頭はぼんやり彼の体温と昨夜共有した熱の余韻を私に与えていて、とてもここから抜け出せそうにない。
「……ねー」
「ん？」
「同棲の話、ちゃんと覚えてる？」
「そっちこそ忘れてへんかったん？」
夜更けド真ん中に交わしたその約束はちゃんと現実だったようで、「忘れたとか言われたらどないしよと思った」と深く息を着いたトントンくんと同じように私も安堵した。
昨夜、アルコール混じりにサラッと決まった同棲。待ちわびた割に呆気なかったそれは、なんとなく私達らしかった。
『トントンくんじゃなきゃダメ』と言った私の言葉は色んな方面に絶大な効果をもたらしたようで、それを聞いた彼は目を真ん丸にしたあと、顔をくしゃくしゃにして笑った。
そして「俺もう、Aちゃんに気使う余裕なくなんで」と広義な言葉と共に唇を食まれた気がしたから、その流れで私は今素肌のトントンくんに抱きしめられているんだろう。そっちに火をつけるために言ったわけじゃないんだけども。
けれど、そのおかげで私は見事第一関門である同棲を突破したというわけだ。拍手喝采。今日を祝日にしたいくらい。
「あ〜…楽しみやなぁ、家帰ったらAちゃんおんの」
「私残業常連だけど」
「そんなん俺毎日迎え行くもん」
同じ家住むんやからええやろ？と楽しげに笑うトントンくんに、こっちまでつられて笑顔になった。
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yuriori12911(プロフ) - 感情移入しすぎて号泣しました。めっちゃ良かったですありがとうございます！ (2021年7月19日 17時) (
レス) id: 83dc3f3be9 (このIDを非表示/違反報告)
Ono - ヤバいtnさんと主人公ちゃんの様子がすごすぎる良いな僕も結婚したいなあ 少し遅いけど完結おめでとうございます 何年も誰も感づかないって逆にすごいな 面白かったです (2021年7月1日 21時) (レス) id: 349a20a4df (このIDを非表示/違反報告)
亞代(プロフ) - 初めまして。完結までお疲れ様でした！ リア設定での会話運び、ネタの進み、言葉選びまでどれも好きで好きでたまりませんでした。素敵な小説に出会えて本当に嬉しかったです。丁寧な文章に一読惚れ？してしまいました。過去作品を拝見しこれからも楽しませて頂きます！ (2021年5月31日 23時) (レス) id: ffc410049a (このIDを非表示/違反報告)
TAMA(プロフ) - 完結ありがとうございました。お疲れ様です。いつもはtnさんに振り回される主人公だったのが、今作は逆も見れてそれも凄く良かったです。二人とも可愛くて…！！ (2021年5月31日 16時) (レス) id: a53139177d (このIDを非表示/違反報告)
碧翔 - 更新停止になった時に、「完結しないのかな」とか思っちゃいました。でも、ランキング見て「あれ、更新ある！？」とか思って帰ってきました。完結おめでとうございます！新作待ってますね。 (2021年5月30日 22時) (レス) id: 0e1788e627 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2021年2月16日 20時
