8話 ページ9
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______それから一年後、現在。
一年次と同様トンちゃんと同じクラスになり、隣のクラスだった鬱くんは進級を機に同じクラスになった。
そして、いつからか鬱くんとは前後席で固定され教室の隅の席を陣取り、毎日専ら二人の世界だった。別に変な意味ではなく、元々授業をよくサボることでクラスから浮いていた私と鬱くんに、誰も話しかけることはしなかったからだ。
ただ。
誰も、と言うのは少し語弊で、たった1人だけその空気も意に介さず話しかけてくる人がいた。
「A、さっき数学ん時どこ行っててん？」
今日も鬱くんと2人、数秒後には内容も覚えていないような中身の無い会話をしていると、頭上から名前を呼ぶ声が聞こえ顔を上げる。
愛しいその声。
こちらに近づく足音でも匂いでも分かるその人は、予想通りトンちゃんだった。
「保健室」
「また腹痛いんか？」
「そんなとこ」
心配してくれているトンちゃんの問いに短く答えるのは、照れ隠し。上がる口角をバレないようにするための予防線。
私が授業中抜け出す先は大抵屋上だから保健室には滅多に行かないけど、私が屋上で何をしてるかトンちゃんは知らないので適当に誤魔化す。
それなのに律儀に私の言うことを信じて心配してくれるトンちゃんは、可愛くて仕方がない。
毎回私がいない授業の後は、こうして話しかけに来てくれるのだ。そのせいで煙草のペースが上がって少し困っている。
私がニコニコと笑うのに安心したのか、程なくして友達の輪に戻っていったトンちゃんの背中を穴が空くほど眺めて、はぁ、と息を着く。
「あいつ結構過保護やんな」
「割と昔から」
鬱くんの呟きに小中学校時代を思い浮かべつつそう返す。きっと、『手のかかる幼馴染』とでも思われているんだろう。
不服ではあるけれど、話しかけてくれるなら理由はなんだっていい。
「ふぅん…複雑やな」
その″複雑″が何を指していたのか暗に聞くことはしなかったけれど、ぼんやり遠くを眺める鬱くんは少し珍しくて不思議に思った。
高一のあの夏の日、屋上で差し伸べられた『助けたる』の言葉は、1年経った今でも私の手を掴んだだけのままで、沈んだ私を引っ張り上げてはくれていないから、私はずっとぬるま湯に使ったまま息もできないでいる。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
