7話 ページ8
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他者に悩みを打ち明けることでそれが半減するなんてことはよく聞くけれど、たった今私は初めてその言葉の意味を理解出来た。
底知れぬ絶望と胸の痛みは半減とまではいかなかったけれど、誰かがそれを知っていてくれている、という事実は不覚にも私に確かな安心感を与えたのだ。
それにしても、『好きな人に好きな人が出来たから死ぬことにしました』なんて単純明快なこの考えは第三者に話したことにより、我ながら少し稚拙過ぎるな、と冷静な私をどこからか呼び寄せた。
ポツポツと、稚拙な私の話を相槌を打ちながら黙って聞いてくれた彼、___基鬱くんは、私がその胸の内を全て吐き出したのを見計らって、一言「泣いてええんよ」と。
昨日、トンちゃんに告げられた言葉を前にしても、私は泣けなかった。泣いたら負けだと思った。私が泣くことによって、どうしようもないその事実を自ら認めることになるのが堪らなく嫌だった。
煙草の火をジリジリと腕に押し付けても尚、涙は出なかった。
否、皮膚が溶かされるその痛みに、涙を逃がしていたのだ。唇を噛み締め、痛みに漏れる声を押し殺すことによって、瞳の奥に押し寄せる涙の気配を必死にかき消していた。
じくり、じくり、と腕の火傷が疼く。
俯く私に鬱くんはもう一度、「1人で辛かったやろ」と、そう言った。
一人きりで流す涙は誰に見られることも無く誰の記憶にも留まらない。けれど、二人きりで流す涙は片方の記憶に留まってくれる。
純粋な恋をしていた私はもう死んだから、私が泣いた事、私が1人絶望したこの胸の痛み、せめてどうか、鬱くんの記憶の中では生きていて。
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ひとしきり泣き終わり、鬱くんは何も言わず私に絆創膏を一枚差し出した。じくじくと痛む火傷跡は半袖の制服から丸見えで、私はそれを特に隠しもしていなかった。受け取ってそれを貼り、蓋をした。
ただ黙って隣にいてくれた鬱くんは、泣き終わった私を見て「せやなぁ…」と暫く何か考える素振りを見せてから、意を決したように口を開いた。
「じゃあ、俺がAちゃんのこと助けたる」
「…？何言ってるの、」
「俺がAちゃんの望むようにしたる。……それやったら、死なんといてくれる？」
『助けたる』そう言って差し伸べられた彼の言葉に、その時の私は思わず手を伸ばしてしまったのだった。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
