6話 ページ7
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それから、「俺の有志見届けとって」と意味不明なことを言われて柵の内側に引っ張りこまれた。
俺の有志、というのは私のラキストを吸い遂げる事を意味していたらしく、肺に入れないよう加減しながら「よ、余裕やわ」と冷や汗を浮かべる彼に、私はつい笑ってしまったのだ。
「へぇ、Aちゃんて笑うんやな」
「私のこと、知ってるの？」
並んで柵にもたれかかる隣の彼は、躊躇いなく私を『Aちゃん』と呼んだ。
話したことはおろか、目が合ったのも今日が初めてなのに、突然名前を呼ばれて思わず訝しげな目を向けてしまう。
「知ってるも何も、隣のクラスやん。さては知らんやろ？俺のこと」
「うん、知らない」
「ちょっとくらい隠せ」
ぶすくれた声で文句を言う彼は、鬱ですぅ、とおちゃらけた声で名乗った。
これから死のうとしてる人に自己紹介なんて、変なの。
ふーん、と自己紹介を聞き流して爪先を弄っていれば、ようやく吸い終わったらしい彼は排水溝にぽとりと吸殻を落として内履きで粉々にすり潰していた。
吸い終わるまで、という約束だった。
それなのに彼は、一向にこの場から動こうとしない。
話が違う、と抗議しようと睨む私を「まぁ、まぁ」なんて押さえ込んで口を開いたかと思えば、
「ほんで？なんで死のうとしてたん？」
「はぁ？関係ないでしょ、」
唐突に踏み込んでそう聞いてくる彼に間髪入れずにそう返す。
私の答えが予想通りだったのか、へらりと口角を上げて見せた。
「ええやん別に。死ぬ前の置き土産や思って言うてみてや」
初めて喋った彼。今日自ら命を絶つつもりの私は、恐らく最後に会話を交わすのは彼になるのだろう。
情が湧いた、とは少し違うけれど、私の自 殺を駆り立てたトンちゃんですら知らないその理由を、世界中で誰か一人は知っていてもいいかな、と。
他でもなくその彼を見て、ふとそんな事を思ってしまったのだ。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
