5話 ページ6
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白い煙は吐き出した瞬間直ぐに空気に溶けた。
私の意識も、あと数分後にはこの世のどこかへ溶けるだろう。どうせなら、私が存在した事実すらもトンちゃん以外の人の記憶から消して欲しい。
寧ろ、私が死んだこともトンちゃんだけしか知らなくていい。
そして、私から離れたことを後悔しろ。
ねぇトンちゃん。
私今、物理的に貴方の前から消えようとしてるんだけど。何とか言ったら？大事な幼馴染が死のうとしてるのに、居なくなってから気づいても遅いんだよ。
ねぇ、
______さっさと、止めに来てよ。
グシャリと柵に煙草を押し付けたとき、後方の扉がガチャっと音を立てて開いた。
弾かれたようにそちらに顔を向ければ、そこに立っていたのは知らない男の子。
なんだ、びっくりした…と安堵したようなガッカリしたような複雑な感情に襲われていると、その男の子はつかつかとこちらに歩み寄ってきて、「あっ！」と声を上げた。
「君やったんか！俺の他にここで吸うてるやつ！」
「…は？なに、」
突然言われた言葉に訝しげな目を向ける私は、自分が煙草の箱を手に持っていることに気づく。
今まで誰にも気づかれずにやってきたのに、こんな見ず知らずの男の子に見られるなんて。
「あ、別にチクッたりせぇへんよ？俺も同罪やし」
見当違いな気遣いをされ、はぁ、ととりあえず相槌を打っておく。
ていうか、この人がここにいたらやりずらいんだけど。
私、この人と仲良しごっこするためにここにいるんじゃないんだけど。
早くいなくなって、と目で訴え続けているにも関わらず、男の子は尚も私と会話を続ける気らしい。
「何吸うてんの？」
「関係ないでしょ」
「へぇ、女のくせにラキストやん。苦ないん？」
「さぁ？キャスターよりは苦いかもね」
男の子の手元を見てそう言えば、「1本くれ」なんてムッとしたように言われる。
私にはもう必要ないし箱ごとあげる、と残っていた数本もまとめてその人に押し付ければ、「こんなにもろたら喉バグるやろ」と笑って突き返された。
そして手渡したその1本にカチリと火をつけて、ひとつ息を吐くと。
「じゃ、俺が吸い終わるまで待っててな。せっかく美味い煙草吸うてんのに、目の前でそないな事されたら不味なるやろ」
そないな事、と言われ、彼は今から私が何をしようとしていたのかを勘づいていたのか、と少しだけ驚く。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
