41話 ページ42
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昼休み、私が投げて寄こしたペットボトル飲料を「お前優しいな！？」と失礼すぎるほど驚きながら受け取った鬱くんを尻目に1人屋上へ向かった。
肺に入れた煙草の味はなんだか久しぶりで、まるで吸いたての頃のように少しだけ噎せた。
トンちゃんが私の傍にいてくれるなら、煙草はやめようと思った。
トンちゃんがいるのに煙草の為だけに他の人に素肌を晒す気にもなれないし、何より彼が隣にいてくれたら、他の物は1つも要らなかったから。
だから、これが最後の1本。
苦く広がるこの味も、喉に刺さるこの痛みも、今となっては全て肯定できる。
苦味も痛みも、トンちゃんと2人で分け合えるから。
痛み藻掻く私の首に回るのはトンちゃんの手の形をした首輪。足に絡むのは重たい足枷。
その2つは全て、相互に絡まり合いながらお互いを繋いでいる。
それは、愛欲に溺れる私たちの、二人きりの世界の形。
ふぅ、と白いモヤを吐き出せば、昼休みの喧騒をも滲んで溶かしてゆく。
柵にもたれてグラウンドを眺める。
今日も木の影で行われている密会を視界の隅に捉えて嫌悪感。最後の1本を楽しむ私には目障りすぎるその光景に背を向けて、目を閉じた。
ポケットの中で携帯が震えている。鳴り止まないバイブ音はきっと鬱くんではない。わざと焦らすようにそれを聞こえないふり。
だって、扉の向こうからパタパタと近づいてくる足音は、もうすぐそこまで来てるから。
バタンと開かれた扉から風に乗り、私の頭を狂わせる愛しい香りが鼻を掠める。
「まーたこんなとこで悪い事しとる」
「最後だもん。許してよ」
呆れたような声に閉じた目を開き、私を見据えるトンちゃんと視線が絡む。
最後、と言った私に、彼はその手から煙草を取り上げることはしなかった。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
