4話 ページ5
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高一の夏、私はある決意を胸に慣れ親しんだ学校の屋上の扉を開けた。
決意と言うと大袈裟にはなるけれど、端的に言えば、もう生きていたくないと思ってここに来た。
つまり死のうとしていた。
そう決めたのは昨日の事で、昨日私を襲ったあの瞬間の痛みと絶望に比べれば、たかが屋上から1歩虚空へ足を踏み出す事なんて、学校帰りに少し寄り道する程度の選択に過ぎなかったのだ。
いつもは隠れて煙草を吸うためだけに来ているこの場所に、初めて別の意図を持って来た。
照りつける日差しが昨日初めてやった所謂″自傷行為″の括りに入るそれの傷跡に突き刺さり、ただでさえびりびり痺れる痛みが一層激しく脳に刺さる。
_______……、気持ちいい。
すぅっと目を閉じて感じるその気持ちよさは、夏の乾いた風に吹かれていたからか、刺さる痛みにぞくりと身体が震えたからか。
死のう、と決めたのはこの痛みじゃ到底満足出来なかったから。この程度の痛みで彼を忘れようとしていた私が甘かったのだ。
そう思ってからは早かった。じゃあどうすればいいのよ、と諦めて2本目の煙草の火もその腕で消し去ったとき、昨日の私はふと思い立つ。
『そうだ、死んだらいいんじゃん』と。
それは、今日の夜見るドラマはこれにしよう、と決める時のようなテンションだった。
そう決めてからは無性に明日が待ち遠しくなった。明日になれば死ねる。屋上から飛び降りればいいんじゃん。早く死にたい、と。
屋上の柵に手をかけ下を見下ろす。三階建てって死ねるのかな。
高校生の私は学校の屋上より高い場所を知らなかったし、自 殺の方法も雑に飛び降りるくらいしか思いつかなかった。
死ねなくても大怪我はできる、と思う。最悪死に損ねても、三階から飛び降りた大怪我じゃ、流石にトンちゃんに女ができた痛みにも勝るでしょう、と。
待ちわびたその瞬間に、二の腕の火傷もびりびりと痛む。これは、私が今興奮してしまっているせいでアドレナリンが出ているのだ。
そうだ。最後に1本吸ってからにしよう、と屋上へ来た時のルーティンを果たそうといつものように火をつけた。
それにしても、人の死は本当に取るに足らない日常のひとコマなんだな、と感じる。登校してすぐ教室にも入らずここに直行したけれど、今日この場所で死のうとしてる人間がいるにも関わらず、過ぎ去る光景は面白いくらいいつも通りだったから。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
