35話 ページ36
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最近、屋上で鬱くんと二人になることが多い。
今日に至っては、初めて待ち合わせて会っているのだけど。
隣でスパーっと煙を吐き出す鬱くんは、止まない雨の中屋根の下でルーティンをこなしている。
煙草が湿気るのが嫌いな私はその隣でしゃがみこみ、薄暗い空を見上げていた。
「で？ほんまに今日でええの？」
「うん。待たせてごめんね」
「別に気にせんでええよ」
昨夜、私の首に手をかけたトンちゃんの目を見て、ようやく確信した。
トンちゃんは、確実に私の手中に堕ちてくれると。
チャンスは1回きりだった。絶対ミスは許されないこのタイミング、失敗するわけにはいかないのだ。
そのために、焦らしに焦らし、ここまでトンちゃんを追い詰めた。
良心と欲の狭間で、さぞ葛藤していたことだろう。
でも大丈夫、私が今日それを救ってあげるから。私がトンちゃんに、手を差し伸べてあげるから。
例えそれが引き上げるためじゃなくて、引きずり込むためだったとしても。
きっと今のトンちゃんなら、私と一緒に堕ちることを選んでくれる。
隣に鬱くんがいることも意に介さず口角が上がる。それは今後を想像し、確信した勝利に身体が震えたから。
「Aちゃんも遂にトンちの女になってまうんかぁ」
「嫌？」
「まぁ複雑ではあるな」
「鬱くんて、私のどこが好きなの？」
「さぁ、なんやろな」
肩を竦めた彼は少し考える素振りを見せ、「欲望に正直な所と一途なところ」と馬鹿正直に答えた。
「せやから、トントンを好きなAちゃんが好きやねん。多分」
『好きな人に好きな人がいる』痛みを知っている私は多少なりとも鬱くんに負い目を感じていたけれど、その言葉で引っかかっていたものが取れた気がした。
また鬱くんの言葉に助けられたな。
隣で目も合わない彼に、小さく「ありがとう」と呟いた。
「ありがとうはまだ早いで。これからやろ」
「…うん、よろしくね」
鬱くんプレゼンツの最後の計画は、今日の帰り道に実行。
私がトンちゃんの手を掴むまで、あと数時間。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
