33話 ページ34
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優しい彼は、中々動きを見せない。
私に怒っている筈なのに、良心と理性がなんとか自我を保っているらしい。
別に、いいのにな。
トンちゃんに汚されるなら本望中の本望。私の身体全てにトンちゃんの印を焼き付けたい。
そして身体の隅々までトンちゃんの物になってしまいたい。
「ごめんねトンちゃん。でも私、こんなになるまでトンちゃんの事しか考えられないの」
火傷の跡、爪で掻いた跡。
様々な方法で嬲られたそれを、トンちゃんに差し出す。
そっと私の腕を取った彼は、血の滲むその傷を口に含むと、そこへ舌を這わせた。
ピリリと細かい痛みが身体中に行き渡る。刺激にまた内側から溢れ出る私の″愛″を、トンちゃんは余すところなくその舌ですくい上げた。
「A……、」
「嫌、……もっとして」
私の血で赤く染った唇は官能的に私の名前を紡ぐ。支配欲に燃えるその瞳の奥、映る私の姿はトンちゃんの手によってドロドロに溶かされていた。
深夜1時過ぎの公園に、二人分の熱が溶けてゆく。
健全な遊具に囲まれながらするその官能的な行為は余計に熱を煽る。
「A…俺、あかんわ…」
「なに？」
絞り出すようにそう呟き、私の首筋に顔をうずめるトンちゃん。
吐き出されたその言葉は赤黒い跡に口付けをした後、熱い吐息と共に宙を舞った。
「このままやと……Aのこと、壊してまう」
「それでもいいよって、言ってるんだけど」
苦しそうな頭をよしよしと撫でて、手首を押さえつけた手を解き、指先を絡める。
嫌や、嫌や、と駄々を捏ねる子供のように何度もそう言う彼にどうしたものかと暫く頭を悩ませ、口を開いた。
「じゃあ、首輪付けてよ。トンちゃんと繋がっていられるように」
私の言葉に顔を上げたトンちゃんの両手を徐に首に宛てがい、そっと掴ませる。
「……絞めて。殺 してもいいよ」
紡いだ言葉は静かな闇の中で私たちを包み込み、より輪郭をハッキリとさせながら響いた。
驚き、戸惑い。揺れる瞳は伺うように私を覗き、私が目を閉じるとその手には徐々に力が篭もった。
冷たい彼の手が、喉元を締め付ける。酸素欲しさに口を開けば吐息が漏れる。
「A、A……俺、ほんまはずっと…、」
薄く目を開ければ、涙を零すトンちゃんの目。
そこで口を噤んだトンちゃんは、グッと手に力を込めるも遂に私を殺 すことはしなかった。
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そろそろいいかな。
意識が途切れる寸前、待ちに待ったその『確信』が私の中で芽生えた。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
