29話 ページ30
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確かにトンちゃんに隠していることは多々あるけれど、それを包み隠さず話すわけにはいかない。こっちだって、嫌われるのは怖いのだ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、目の前のトンちゃんは、私が離れていくんじゃないかと不安らしい。
自分の事棚に上げて、よく言う。
不安げな顔のトンちゃんを前にして笑いそうになり、深呼吸で落ち着ける。
トンちゃんのそれは、幼馴染が誰かに取られてしまうという純粋な独占欲。誰だって、距離の近い友達が他の人と仲良くしているのは面白くないのだ。
だけど、私が働きかけなくても勝手に独占欲が湧いてくれたのは好都合。私が思っていたよりも、トンちゃんは私の事を気にかけていてくれたらしい。
「心配いらないよ」
「なんで言いきれるん？わからんやん」
「もう、そんなに信じられない？」
「信じられへん。だってA、鬱が止めへんかったら今頃死 んでたんやろ」
まぁそうだけど、とお茶を濁す。
「俺に何も言わんと、俺の前からいなくなろうとしたんやろ」
「うん。仕方ないよね」
「仕方なくない」
食い気味に乗せられた言葉は、言葉尻と共に私の腕をグッと掴む。_____それも、傷がある方の腕。
ビリッと脳を突き抜ける痛みに一瞬驚きトンちゃんの顔を見る。……確信犯。
なんの蓋もしていないその傷口を親指でグリっと擦られ、声が漏れる。
じゅわりとそこから何かが溢れ出た感覚と共に、ぬるりと患部を滑るトンちゃんの指先。
「……痛い？なぁ、A」
「ん、…ぅ、…っ」
独占欲、嫉妬心、興奮。
全て織り込まれた赤色の瞳は、じゅくじゅくの傷口をかき混ぜられ脳が蕩ける私の姿を映し出している。
「俺な、おかしいねん」
「なに、？」
不意に手を止め、ポツリと呟く。
「Aの痛がっとる顔…めちゃくちゃ興奮すんねん、……頭おかしなっとるんかな、」
溶けた脳で噛み砕く、その言葉。理解した私は、内側から湧き出る高揚感に身震いした。
トンちゃんが、私で興奮してくれてる。痛みが快楽の私を、肯定してくれている。
「ね、トンちゃん。私が離れられないように、跡付けて？」
「跡…って、どうやんの？」
揺れる瞳。期待と高揚の入り混じるそれの前、シャツのボタンを3つ外し、首筋を晒した。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
