22話 ページ23
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トンちゃんの不安げな視線を背中に感じ、振り返って「だいじょうぶ」と口パク。ニコリと笑って教室を後にした。
私を庇ってくれたトンちゃんのためにも、上手いこと目の前の先生を言いくるめなければいけない。
幸いにも、私はこの人の弱みを握っている。いざとなればそれで切り抜ければいい。
いつものソファに向かい合って座り、私は早速口を開いた。
「私、ほんとに知らないです」
「…と、言ってもな、…」
「じゃあ私を退学にする前に、私の独り言だけ聞いてもらっていいですか？」
じ、っと顔を見つめる私に、先生は首を傾げながらも頷いた。
「私はこの学校の誰かに恨まれてる。開封済みの煙草は昨日の朝は無かった。昨日私は朝から授業に出ず家に帰った。それなのに今朝見たら、机に置いてあった」
ポケットに忍ばせた煙草を、机の上に置く。
「先生。知ってますよね？夜一緒にいたなら。私の援交チクった女の名前、教えてくださいよ」
この煙草も、きっとそいつの仕業でしょ。
取り出した煙草を唖然と見ていた先生は、徐に口を開いた。
「これ……お前、どこで拾った？」
「は？朝来たら私の机に置いてあったって言ってんでしょ」
「じゃあなんで……、これ、俺のだ」
俺の、と言った先生は大層混乱しているようだったけど、今のでハッキリした。
開封済のこれが先生のなら、先生と繋がってるその女が間違いなく犯人でしょ。
「何？先生、そいつの名前教えてくれないの？ひょっとして庇ってる？」
「っ！そういう訳じゃ、」
「へぇ、そいつのこと棚に上げて、私のこと学校から追い出す気？」
「ちがう、」
「二人揃って私を陥れようとしてんでしょ？マジでキモいんだけど、デキてんの？」
嘲笑を重ねる私に、遂に先生は声を荒らげた。
「っ美香子を悪く言うのはやめろ！」
馬鹿なこいつが煽りの末に名前を吐くのは想定内だった。
だけど、耳に飛び込んできた名前は、全く予想外のものだった。
それは私が世界で1番嫌いな文字列。
耳にしただけで虫酸が走り、昨夜抉り散らかした傷跡をまた爪で掻きむしった。
吐き気がする。息が苦しい。大きく息を吸って吐いても身体に酸素が行き渡らず、肩で息をする私の後ろで、部屋の扉が開いた。
「先生、俺の大事な友達いじめんといてください」
鬱くんに肩を抱かれ、部屋の外へ連れ出される。背中をさすられながら唇を噛み締めた。
『美香子』
それは紛れもなく、私からトンちゃんを奪った女の名前だった。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
