20話 ページ21
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徐々に大きくなる足音と、身体を揺すられ名前を呼ぶ声に目を開けた。
「A、A！どうしてん、何してんねんこんな所で！」
「トンちゃん……なんで」
ベンチに倒れ込む私の視界に飛び込んできたのは、額に汗を浮かべて焦った表情のトンちゃんだった。
意識朦朧としながら呼び出した私の元に、本当にトンちゃんは来てくれた。
真夜中の公園に、息を切らせて。
「てか……それ、なんやねん。まさか、Aのちゃうよな？」
訝しげな視線の先を辿ると、傍らに置いた煙草とライター。
あぁ、内緒にしてたのにな。注意力散漫になっていた私は、事前工作をする余裕もなかった。
「私の。見ないで」
汚い私。弱い私。
呼び出したのは私なのに、自己中心的と知りながらそんなことを言った。
何も言わないトンちゃんにチラリと視線を上げれば、その顔は酷く傷ついたように歪んでいた。
「……な、んで？いつから、こんなもん持っててん、」
「忘れちゃった」
ニコリと笑ってはぐらかした私を、トンちゃんは肩を掴んで起き上がらせた。
「 心配してんねん！こんな時間に1人でこんなとこで泣いとって、………会いたいってなんやねん、それ」
心配の色を含ませながらも、その目は怒りが籠っていた。
温厚なトンちゃんが怒ってる。私の肩を掴む手から、トンちゃんの体温が伝わる。
私のために、こんなに怒ってくれてる。
ゾクリと震える背中。この状況に口角が上がりそうになる自分に、背徳感。
「………トンちゃんが、悪いんだからね」
「は？俺が…なに？」
「私をこんなにしたこと……許さないから」
だから早く、責任取って。
責任取って一緒に、_______溺れてよ。
急な私の言葉に戸惑いを滲ませるトンちゃんは、肩を掴む手を少し緩めた。
離れてゆく体温に名残惜しさを感じながらも、私の口は止まらなかった。
「ね、トンちゃん」
「…な、なに？」
「私のこと好きになってくれたら、何でもしてあげる」
_______トンちゃんの好きなこと全部、してあげる。
そう言った私に、彼は息を飲んだ。
「A……何言うてんねん、」
「ねぇお願い、お願いトンちゃん……私のこと、すきになってよ……」
トンちゃんの体温に触れてしまった事で、押さえ込んでいた想いがボロボロと零れた。それと同時に涙も溢れ、ぐちゃぐちゃになった腕の傷跡にポツリと落ちた。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
