18話 ページ19
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ギシギシと鳴く安いベッドの上、二人分の吐息が静かな部屋に舞って溶ける。
黒く沈む胸の内から目を逸らすために予定のないバイトまで入れたのに、私に覆い被さるこの人との温度差を感じれば感じるほどただ虚しくなり、最中なのに目の前が曇った。
鬱くんにされたキスで気持ちが揺らいだわけじゃない。寧ろ、キスされたのに断固揺らがないトンちゃんへの想いはそれが引き金となり、余計に胸の中で燻るばかりだった。
鬱くんを好きになれたらどれだけ良かっただろう。
頭の片隅に過った誰も傷つかないその未来は、私の手で引き裂いた。
ごめんね鬱くん。やっぱりトンちゃんじゃないとダメみたい。トンちゃんを手に入れるためなら、私はどんな手段も惜しまない。
「ね、……何考えてんの？」
「…なにも、……っもっとして、」
バイトはいつもトンちゃんへの想いに蓋をしてから望んでいた。だけど、蓋より肥大したその想いの大きさに、蓋はまるで意味をなさなかった。
3万円の職務のためだけに放った無価値な言葉は、私の身体を掻き乱す。
荒んだ胸の内と比例して、表面上の身体も知らない人の手によって、中も外もボロボロだった。
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ベッドに座って髪を整えつつ、ぼんやりと窓の外を見ていた。
ネオン差し込む窓から小気味いい風が吹き込む。
大して火照ってもいない素肌の私には、少し肌寒い。
後ろでシュルリとネクタイを結ぶ音を耳に捉えながら、私も制服のスカートに手をかけた。
と、そのまま部屋を出ると思っていたその人は、3万円の私に追加で言葉を投げかけた。
「そのリボン…懐かしいなぁ、俺もそこ通ってたんだよ」
えらく踏み込んだことを言うなぁと特に反応もせずやり過ごそうとしていたのに、次に投げかけられた言葉に私の動きは停止した。
「あんまりこういう事言うのってルール違反なのかもだけど……この間会った子も、そのリボンしててさ」
「……、へぇ」
私は、もしかしたら間違っていたのかもしれない。
私はてっきり、この間ホテル街で私を見たのが先生本人だとばかり思っていたけれど。
_____先生の他に、本当にどこかで私を見ていた生徒がいた？
そんなの、見かけても同業者なら見ないふりをするのがルール。
それなのにその生徒は_______そいつは、あろう事か学校に私を売った。
私はどこかからか、恨みを買っていたらしい。
これから起こり得る予感に上がった口角をバレないよう、指先で蓋をした。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
