17話 ページ18
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カモフラージュの絆創膏からも遂にはみ出すまで肥大してしまった傷跡は、黒く渦巻く私の胸の内をそのまま貼り付けたようだった。
今朝、屋上で交した鬱くんとのキスに私は最後まで何も言えず、「もうすぐ助けたるから」と笑った彼の顔がいつまで経っても頭にこびりついて離れない。
『俺ん事避けるんとか無しやで』と念を押して先に教室へ戻った鬱くんの背中に小さく頷いたものの、結局教室へは戻らなかった。
別に鬱くんの事を避けたわけじゃない。単に居心地が悪かっただけ。
誰に言うでもなく心の中でそう言い聞かせ、屋上を出たその足でそのまま学校を後にした。
そしてフラフラと家に帰り、夜が更けた頃またフラフラと家を出た。
すっかり手馴れてしまった手つきで携帯をスワイプして、いつもの如く適当にタップした連絡先にメッセージを送った。
もう、誰だってよかった。
ぐちゃぐちゃに絡まった感情を一時的にでも埋めてくれるのなら、誰でもいい。
来たのは若めの男の人だった。今日に限っては、自己中なオッサンでもどうでもよかったけれど。
その男の人は明らかに様子のおかしい私に気を使ったのか、食事だけ、と提案してきたけれど、その気遣いに首を振って私からいつもの場所へ手を引いた。
部屋に入ってしまえばこっちのもの。
いつもは街に足を踏み入れる前に外していたリボンだけど、今日はそんなことを考える余裕もなくまだ胸にぶら下がったままだった。
高校バレたかも、そう頭の片隅で思ったけど、もうどうでもいい。
自分でそれを解き、第3ボタンまで解放されていた制服のボタンをもう1つ開け、ちらりと視線を上げる。
最初は遠慮する素振りを見せていたその人もそれにスイッチが入ったらしく、壁に私を押し付け唇を奪った。
首に腕を回して吐息と共に舌を絡め、目を閉じる。
鬱くんとのキスはほんの一瞬、押し当てられただけのフレンチキス。
それなのに、こんなに深いキスをされていても尚、その感覚はずっと唇に残ったままだった。
鬱くんのことを恋愛的に好きだとか、そんな事はない。
だけど、初めて顔も名前も知っている人にされたキスは、今までどんなに肌を重ねてもピクリとも動かなかった私の心を確かに一瞬ノックした。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - ありがとうございます。あなた様のおかげで、ut先生とtntnの魅力に気づきました。 (2020年8月16日 12時) (
レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
豚さん - 今日見つけて一気読みしちゃいました.....面白すぎます多分8回以上は号泣しました....『こっち向いて、先輩』もすっごく見てました!!ドロドロしてるのめっちゃ好きなのでめっちゃ面白かったです、これからもいろいろな小説の更新頑張ってください!!! (2020年6月12日 14時) (レス) id: dc625e2a67 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もう病み具合がちょうど良すぎて登校日なのに徹夜しちゃいました！あまりグロいのに耐性ないんですけど案外普通に読めました！これ読みながらとあるボカロ曲聞いていたら歌詞の意味が違って聞こえましたw (2020年5月26日 6時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
しき - あ、神でした (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1586e9f170 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 完結おめでとうございます！いや…いい意味でゾクゾクしました…本当にゆららさんが書く小説どれも大好きなので読んでる時、ドキドキしながら次の更新を待っていました！新作も楽しみにしております…！、！！ (2020年5月25日 11時) (レス) id: 85216316b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年4月25日 0時
