43話 ページ43
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忙しい時期のノー残デーなどもはや存在しないのと同じで、やっぱり私は今日も確定残業。隣のコネシマくんも眉間にシワを寄せて未だモニターと睨めっこを続けていて帰る気配もない。
そう言えば、今日は鬱くんは家に来るつもりなのだろうか。
というよりもう付き合ってるんだからいつ家にいてもおかしくないのか。
元々合鍵を渡しているからいつ来たっておかしくはなかったけれど、最近のこの忙しい時期は律儀に姿を表さなかった鬱くん。
かと思えば、昨日は私の家じゃなきゃ帰りたくない、と駄々を捏ねていた。
やっぱり鬱くんは、顔を見なければ何を考えているか分からない。
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ぼんやりと鬱くんのことを考えながら勤しんだ仕事が粗方片付いたのは日付が変わる少し前。
グッと伸びをした私に合わせてコネシマくんも深く息を吐き出していて、彼もようやくひと段落ついたらしい。
「腹減った……飯行かへん？」
「えぇ、今から？」
「昼もまともに食うてないねん、俺」
いそいそと帰り支度を始めているコネシマくんを目で追って、この時間からの飲食に体重計が頭にチラついたものの、私もパソコンの電源を落としてバッグを肩にかけた。
二人揃ってあくびをかましつつ、「どこ行く？」「すぐそこんとこ」と端的で事務的な会話を交しながらエントランスを出た。
と、その時。
「あ〜〜やっと出てきた、そろそろ足取れる思たわ」
「兄さんが出てくるまで待とうや言うたんでしょ」
見知った声に、コネシマくんと二人揃って振り返る。
「何してんねん？お前ら」
こんな時間まで仲ええな、と感心したように言うコネシマくんに気にするところはそこじゃない、と心の中で突っ込む。
「A〜遅いねんけど……シッマと浮気してへんよな？」
「交際0日で浮気って、鬱くんしかしないよ｣
過去の例を提示すればどこ吹く風でフラフラと私に近づいてきて、人目(主に2人)も気にせずギュッと抱き締められる。
程よく疲れていた私はそれを引き剥がす元気など残っておらず、されるがままに棒立ちだった。
「おい、お前ら！俺腹減った言うとるやろボケ！」
「うるさいでシッマ、邪魔せんといて」
「あ、私もお腹すいた。みんなでご飯行こ」
「……え〜〜…」
しょぼくれながら身体を離した鬱くんは、渋々という表情を張りつけて私の言葉に小さく頷いた。
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赤月セレン(プロフ) - コメント失礼します。物凄くお話にのめり込んで一気に読んでしまいました…とても良くてもう好きです（笑）tnさんの方の小説も楽しみに読ませて頂きますね。素敵なお話をありがとうございます、更新お疲れ様でした。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: f86cb701a2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - ずきゅん (2020年8月28日 1時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ(プロフ) - 完結おめでとうございます＆ありがとうございますっ！！凄い、素敵でした...2人が幸せに結ばれて、私も幸せですぅ...ニヤニヤ止まんなかったですぅ...新作も読ませていただきますぅぅ...!!!!更新、頑張ってください！！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
やち(プロフ) - 完結おめでとうございます！生活感のある日常に散りばめられたもどかしさと時々挿まれるドキッとする描写のバランスがたまらず、更新のたびにとても楽しく読ませていただきました。ゆららさんのsyp君がまた素敵で転がるほど好きでした…！次回作も楽しみにしています！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 6f58a85157 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - かげでこそこそと見させて頂いておりました。なんとも言えない大人のもどかしさがまた純愛のようなものが感じられてとても良い作品でした。完結おめでとうございます。 (2020年4月25日 2時) (レス) id: bbf23e1c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年3月22日 1時
